今度は塩化水素・・・・

 

今朝の日報でも新潟市の試験焼却中止の記事がありました。

で、その隣に新田清掃センターで基準値超の塩化水素が検出されたという記事。

は??塩化水素???そんなん初めて聞いたんすけどっ????

しかも基準越えが判明したのは今月の18日と20日の2回。
日程調整の結果、地元への説明が26日になって、市民に公表されたのが昨日。

検出から地元説明まで時間かかり過ぎてるし、亀田の試験焼却予定日にそんな大事な発表ぶつけてくるってどーゆーこと!?

鉛・水銀に続いて塩化水素。

新田清掃センター、どないなっとんねん!

もう瓦礫ウンヌン抜きにしても焼却施設として問題あり過ぎじゃんっ!!

 

ちなみに塩化水素とは。

名前を聞いた時点であんまりカラダに良さそうな気はしませんが、基準が設けられているだけあって人が吸い込むと死に至る毒物で、常温常圧時では気体、水溶液の場合は塩酸と呼ばれます。Twitter情報によれば、塩化水素は塩化ビニール等を焼却した時に発生し、ダイオキシンと発生原理は同じだそうです。

 

そんなもん、漏れていいわけないじゃんっ!

 

そしてこの塩化水素が排ガスから漏れてたってことは、環境省がセシウム99.99%除去と豪語していたバグフィルターが充分機能していないことを自ら証明したようなもの。

 

塩素と水素の化合物も取れないんじゃセシウムもストロンチウムもプルトニウムも取れるわけないじゃんっ!

 

そこらの芸人よりネタが豊富(ただし笑えない)な新田清掃センターはもう操業停止にした方がいいんじゃないでしょうか。

塩化水素出たの知ってて試験焼却しようとしてたんですから恐ろしい話です。

一夜明けて

長い地道な戦いの末に勝ち取った昨夜の試験焼却中止。

あれからTwitter上では喜びや感激の声がたくさん流れ、あらためてアクション起こしてくれた市民の皆さんに感謝する思いです。

 

が、しかし、

一方で試験焼却に反対した方々を非難する声もチラホラ。

「被災地のために広域処理は必要」
「困っているなら助け合うべき」
「反対してる人は自分さえよければいいのか」
「瓦礫は検査されていて安全なのになぜ拒む」

中にはもっと汚い言葉もあったし、今回だけじゃなく、今までだって何度も何度も言われました。

でも、それらの声を批判はしません。

瓦礫焼却に賛成の方も被災地の力になりたいという想いからの言葉でしょうから。

 

ただ、

瓦礫焼却賛成の方も、反対の方がなぜあれほどまでに必死で反対するのかを知ってほしい。

放射性物質は安全なのか。
チェルノブイリ原発事故で起きたこと。
焼却施設に潜む問題。
広域処理によって何が起ころうとしてるのか。
瓦礫焼却に絡む利権。
被災地の現状と本当に望んでいる事。

賛成してる方が不勉強だとは言いません。

でも、上辺のキレイ事で賛成と言うのではなく、それらの問題を知り、遠い未来も考えた上で判断してほしいんです。

それらを知った上で賛成と言うならそれは個人の判断で誰にも文句を言われる筋合いはないし、反対の人とも単に非難や罵倒だけの議論よりよっぽど建設的な話ができると思います。

福島第一原発事故以降、ぼんやりとした曖昧な不安の中で過ごしていた私も参加した説明会や抗議行動でネットだけではわからなかった多くの事を知りました。

だから賛成の人もできるだけ多くの真実を知ってほしい。

なぜ、地元のおじいちゃんが命を張ってトラックの前に座り込んだのかを。

 

先日の亀田での市民主催説明会で司会のマリオさんが教えてくれました。

かつて建設を巡って地域を二分した巻原発。もし計画通りに建設されていたらちょうど今年1号機軽水炉が運転開始になる予定だったそうです。

原子炉設置許可申請が出されたのが1982年1月。今から30年も前のことです。当時、私はその話があることは知っていたし反対運動があることも知ってはいましたが子供だった私にとっては完全に他人事。大人になってから地元の方から「あの時は町が真っ二つに分かれてすさまじい対立をしていた」という話を聞いた程度です。

福島第一原発事故を経験した今ならもちろん巻原発にも反対ですが、あの頃に地元の方々が反対していなかったら我々新潟市民は今よりもっと核の恐怖にさらされることとなっていたはず。今ごろになって反対してくれた事に感謝するのも図々しい話ですが、当時戦ってくれた方々にはありがとうとしか言えません。

 

では、今を生きる我々はどうか。

数年後、数十年後、子供たちに「ありがとう」と言われるのか、「なぜあの時反対してくれなかったのか」と言われるのか。

いや、私は別に子供から感謝してもらいたいなんて思ってません。病気になることもなく彼らの人生を謳歌してくれればそれだけで満足です。

そのためには何をするべきか。

考える日々はまだ続きそうです。

戦いの成果

まずは結果報告から。

明日27日に亀田清掃センターで、29日に新田清掃センターで予定されていた新潟市の震災瓦礫試験焼却は中止になりました。瓦礫の搬入も中止です。

今日の中止発表が一時的なものなのか、恒久的なものなのか、微妙さを残してはいますが、恐らく明日には篠田市長から何らかの発表があるかと思います。

 

・・・・・亀田から帰ってきた今でも夢じゃないかという気がしてなりません。

今日は昼間から市民有志のみなさんがなんとか試験焼却を中止させようと市役所や県庁を駆け回ってくれたのに篠田市長は相変わらず逃げ回って交渉のテーブルにつくことすらしてくれない中、夕方からは亀田清掃センター搬入口前で最後の抵抗。私もいても経ってもいられずに亀田に向いました。

正直、試験焼却の中止はムリだろうという諦めはありました。搬入口でも結局「最後の悪あがき」で終わり、北九州のように強行突破されるのだろうと思ってました。亀田に足を運んだ方々の中にもそういう想いがあった方もいらっしゃったかもしれません。

でもみんな必死でした。新潟を、農業を、子供たちを守ろうと必死に戦いました。冷たい雨の降る中寒さに耐えて必死に戦いました。瓦礫の入ったコンテナを積んだトラックの前に座り込んでいた地元のおじいちゃんは、2年前に大病を患い一度命を失いかけた自分は今日は死ぬ覚悟で来たとおっしゃっていました。必死故に時に声を荒げ、騒然となるシーンもしょっちゅうだったけど、暴力は一切ナシで戦いました。度々チェックするTwitterでも来れなかった皆さんがたくさんエールを送ってくれていました。

そして、みなさんの粘り強い交渉の結果、今回の試験焼却中止という副市長の言葉を引き出すことができました。

市役所前で声を上げていた頃はまだ暑かったのに、あれからすっかり季節は変わりました。あの頃からずっとこうなることを夢見ていたのに、いざ現実になるとやっぱりまだ夢を見ているよう。

でも、我々は勝った。

もしかしたら搬入口まで来たトラックを引き返させたのは新潟が初めてかもしれない。

これは大きな一歩だと思う。

篠田市長から正式な発表があるまで予断を許しませんが、今日のこの出来事は長岡・三条・柏崎・新発田の残り4市、そして既に受け入れている・受け入れようとしている他県にも大きな影響を与えるはず。

市民の力で瓦礫は止まる!!

今回の成果を得たのは亀田・新田両センター周辺自治会のみなさんの力が大きかったそうです。アクションを起こしてくださった地元のみなさん、ありがとうございます。

それと同時に、なかなか情報が行き届いていなかった自治会や私のような一般市民にも一生懸命情報発信し、問題提起してくださった市民有志のみなさんの多大なる尽力があってこそだったのも、これらの運動に参加したみんなは知っています。

一人一人の力は小さくても、みんなで団結すれば大きな力になる。そしてその力は動かないと思っていた大きな岩を動かした。

有志のみなさん、本当にありがとうございます。

私は有志のみなさんが用意したステージの端っこにちょこんとオマケ程度に乗っかるくらいしかできなかったけど、みなさんと少しでも関われたことは私にとって今後の大きな財産となります。

 

そして・・・・・

もちろん、新潟が止まったからってそれで終わりじゃありません。残り4市も絶対に止めなきゃいけないし、この流れを全国へ広がる大きな流れにしなきゃいけない。瓦礫以外でも亀田・新田では鉛や水銀の問題もまだ解決していない。それに、大槌町を始めとして本当に被災地復興の一助になる支援もしていかなければならない。

今日はゴールではなく、やっとスタートラインに立てただけ。

これからもがんばりましょう。

 

公害防止協定

前の記事に引き続き、山本節子さんから学んだ「公害防止協定」について。

まず公害防止協定とはどういうものか。
環境影響評価情報支援ネットワークの環境アセスメント用語集によれば

地方公共団体または住民と公害発生企業との間に、公害防止を目的に締結される協定。これは、法令の規制基準を補完し、地域に応じた公害防止の目標値の設定、具体的な公害対策の明示等を内容とし、法律や条例の規定と並ぶ有力な公害防止対策の手段として広く用いられている。
法的性格については、紳士協定説、民事契約説などがあり定説がない。

とあります。

新潟市が試験焼却を行う予定の新田清掃センター・亀田清掃センターを管理する新潟市は施設周辺の自治会と公害防止協定を締結しており、これはもちろん周辺地域で公害が起きないようにするためのものです。公害防止協定については以前の市民主催説明会でも度々このワードが出てきていて、私としても気になっていましたが、その中身がなかなかわかりにくかったりするので、説明会で配布された「新田地区の公害防止協定について」という資料を元に問題点を考えてみたいと思います(引用失礼します)。

 


新田地区の公害防止協定について

新潟市は、平成24年3月8日、新田自治会、新田東自治会、笠木自治会との間で新田清掃センターの操業に関する公害防止協定書を締結しています。

【目的】
センター周辺地区の良好な環境の保全を図り、センターの操業に伴い公害が発生することを未然に防止するとともに、地域の生活環境を保全し、市と自治会との理解を深め、協調・信頼関係を強化するために必要な事項を定める。(第1条)

【基本理念】
市は、公害防止について、社会的責務を有することを強く自覚し、積極的に地域住民と連携を保ち、誠意を持ってこの協定を履行するものとする。(第2条)

【公害発生時等の措置】
市はセンターの操業に起因する公害が発生し、また発生する恐れのあるときは、操業短縮、操業停止その他必要な措置を講じ、その原因発生の排除に努めるものとする。(第4条)
市はセンター周辺地域の生活環境に影響を及ぼし、また及ぼす恐れのある事故等が発生した場合には、直ちに生活環境保全上の支障の除去、または発生若しくは拡大防止のための必要な措置を講ずるとともに、当該事故等の状況及び講じた措置の内容を自治会に報告するものとする。(第4条2)

【被害補償】
市は公害が発生し、地域住民に被害を与えた場合は、直ちに公害防止対策を講じるとともに、誠意を持って補償するものとする。(第5条)

【協議会】
自治会はセンターの操業により生活環境の保全上の支障が生じ、又は生じる恐れがあると判断したときは、市に協議会の開催を請求することができる。(第8条2)
この協定に定めのない事項が生じた場合及びこの協定に定める事項に疑義が生じた場合においては、その都度市と自治会が協議して定めるものとする。(第9条)

ここから捕捉として

【憲法第92条】
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は地方自治の本旨に基いて法律でこれを定める。

【新潟県環境基本条例 第5条(市町村の責務)】
市町村は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、その区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。


 

難しい言葉・言い回しですが、内容は概ねわかるかと思います。

「目的」については言わずもがなです。過去、高度成長期には全国各地で公害が発生し、新潟でも水銀汚染による新潟水俣病があったことは新潟県民なら知らない人はいませんね。そういう公害を二度と起こさないために住民と結ばれるのが公害防止協定です。

「基本理念」では「積極的に地域住民と連携を保ち、誠意を持ってこの協定を履行する」とあります。新田清掃センター周辺の3自治会は市に対して試験焼却の中止を求めていますが、篠田市長はその声には耳も貸さずに一方的に試験焼却の実施を発表しました。これでは住民との連携も誠意もなく、協定の基本理念を根底から覆す暴挙と言われても仕方がないでしょう。

「公害発生時等の措置」にある「操業に起因する公害が発生し、また発生する恐れのあるときは、操業短縮、操業停止その他必要な措置を講じ、その原因発生の排除に努めるものとする」という点では、新田清掃センターは現時点で基準値超の鉛・水銀を含む焼却灰を抱えており、公害が発生している可能性がありますが、これについて原因の特定はできておらず、もちろん原因発生の排除もできない状態です。協定に基けば新田はとっくに操業停止になっているはずなのですが操業は通常通り行われており、第4条2にある「当該事故等の状況及び講じた措置の内容を自治会に報告」も不十分なままです。その新田清掃センターで試験焼却を行うのは物事を進める順序がまったく間違っているのではないでしょうか。

「被害補償」では「市は(中略)誠意を持って補償する」とありますが、瓦礫焼却に関して被害が起きた際の責任の所在を篠田市長に聞いても「国が補償する」の一点張りで誠意のカケラもありません。これについては山本さんも「国は責任なんて取るつもりもなく、取れるはずもない、市も責任を逃れて最終的には住民の泣き寝入りになる」と指摘されていました。福島から避難されている方の多くが国からも東電からも満足な補償を受けられていない現状を見れば、それと同じことが瓦礫焼却でも起こるということは容易に想像できることです。例え国からの要請であっても、それを受け、実施を判断したのが市長や市議会であれば市が責任を負うのは協定の有無に係わらず当然のことではないでしょうか。

「協議会」では「この協定に定めのない事項が生じた場合(中略)、その都度市と自治会が協議して定めるものとする」とありますが、協定には「県外の廃棄物」「災害廃棄物」「放射性物質」については何の規定もなく、規定にないものを持ち込む場合には自治会と協議することになっているにも係わらず、協議もされず協議結果もないまま一方的に試験焼却が行われようとしています。本来であれば試験焼却実施を発表する前に自治会と協議をし、その結果を受けた上で試験焼却実施を発表するべきです。

このように、地域住民の健康や環境を守るべき公害防止協定が結ばれているのに、篠田市長はこれらを無視して試験焼却を強行しようとしています。これでは協定を結んでいる意味がまったくありません。今月行われた町づくりトークでもこの協定を軽視した発言をしていたという報告もありました。

 

では、この公害防止協定に法的拘束力はあるのか?という点について。

これは記事冒頭の環境アセスメント用語集でも「法的性格については、紳士協定説、民事契約説などがあり定説がない」とあるように見解が分かれるところでもあるようですが、大方は「民事契約説」として受け止められることが多いようです。そして資料捕捉にもあるように、日本国憲法第92条、新潟県環境基本条例でも定めがありますので、新潟市は公害防止協定を順守する義務があります。既に基準値超の水銀・鉛を出した新田・亀田の両センターは公害防止協定に基づいて、自治会が求めれば操業停止しなければならず、更に言えば住民の求めがある前に水銀・鉛が出た時点で自主的に操業を停止し原因究明をする責任があります。

山本さんもこれについてはハッキリと法的拘束力があると断言しており、事実、山本さんは神奈川県(市町村名は聞き損じました。すみません)での瓦礫焼却反対運動のバックアップをされて、この公害防止協定によって瓦礫焼却を中止させた実績があります。

自治会によって協定の記述に多少の違いはあっても中身はほぼ同義。神奈川県で止められたということは、新潟でも、その他全国の瓦礫を受け入れている地域、受け入れ予定の地域でも同様に止められるということです。

前の記事でも書いたように、危険なのは放射性物質だけではありません。水銀や鉛以外にも有害な物質は数多くゴミに含まれています。恐らく多くの焼却施設で新田や亀田のような問題が起きているでしょう。何か起きてからでは遅いのです。過去の公害でそれは学んだはず。それを防ぐのが公害防止協定です。

 

ぜひ、ご自身や家族・友人を守るために、今こそ公害防止協定を使って危険な焼却を止めてください

第5回市民主催説明会

 

昨日は昼間の市役所に続き、亀田清掃センターで行われた第5回市民主催説明会に行ってきました。

特別講師として招かれた山本節子さんは市役所にも同行いただき、説明会と合わせて大変有意義なお話しを聞かせていただきました。

今回出てきた重要なキーワードは「PM2.5」

はい、また初めて聞くワードです。それなりに知識を得てるつもりでもまだまだ知らないことがいっぱいです。

 

「PM」とは「Particulate Matter」の略で、日本語にすると「微小粒子状物質」

「2.5」は物質の大きさを表す2.5μm(マイクロメートルあるいはミクロン)のことで、つまり「PM2.5」とは「粒径2.5μm以下の微小粒子状物質」ということです。

1マイクロメートルは1/1000000メートル、ミリにすると1/1000ミリ。

ヒトの頭髪がおおよそ直径70μmくらいらしいので、2.5μmは直径で頭髪の1/28ほどの大きさ。PM2.5というのが非常に微細な粒子だということがわかります。

山本さんはこれまで多くのゴミ問題や焼却施設・環境汚染の問題に取り組まれていて、チェルノブイリ原発事故についても多くの知識を持っています。そしてチェルノブイリで多くの住民が被曝した要因の一つに「PM2.5」があると指摘しています。

チェルノブイリ原発事故では広大な土地が立入禁止になりました。放射性物質が大量に降り注いだ森林や農地で火災が発生すると放射性物質が煙と共に周辺に飛ばされ、立入禁止区域外の住民の体内に取り込まれます。燃やされた放射性物質は微細なPM2.5となって肺まで簡単に到達します。チェルノブイリではこうして飛散したPM2.5放射性物質による被曝で多くの住民が健康被害を起こしました(もちろんこれ以外に食べ物などによる被曝もあるでしょう)。山本さんのスライドで煙が飛散する様子を映した衛星写真を見ましたが、煙は驚くほど遠くに飛びます。日本でも春になるとはるか中国から黄砂が飛んできますよね。目視できるくらいの大きさの砂が中国から日本まで届くんですからPM2.5を含んだ煙なら風次第ですごい距離運ばれるのは想像に難しくありません。以前は好きだった「いい質問ですねぇ!」でお馴染みのあの方が3.11直後に「プルトニウムは重いから遠くまで飛ばない」と連呼していたにもかかわらずフクイチから何百キロも先でプルトニウムが見つかったのも同じです。微細な粒子は遠くまで飛び、我々の体内に簡単に入り込むということです。

そしてこれはこれから新潟で行われようとしている瓦礫焼却にも繋がります。

焼却施設に持ち込まれるゴミには様々な物質が含まれ、中には人間にとって有害な物質もあります。新潟市が試験焼却を行うとしている亀田清掃センターでは基準値超の水銀を含む灰が、新田清掃センターでは同じく基準値超の水銀と鉛を含む灰が出ました。焼却灰に水銀や鉛が含まれているということは持ち込まれたゴミにそれらが含まれていたということ。そして、ゴミに含まれていた水銀・鉛が全て灰に残ればまだいいのですが、一部は焼却によって気化し、PM2.5となった水銀・鉛はバグフィルターをすり抜けて排気筒から大気に放出されます。いや、「されます」ではないですね。既に「放出されています」。新田清掃センターには埋立処分場から持ち帰られた水銀・鉛を含む大量の焼却灰が保管されていますが、その処分方法についてセンター長に聞いたところ「一般ゴミに少量ずつ混ぜて2年かけて処理する」と言っていました。これはつまり「灰の基準値がオーバーしなくなるまで薄めて大気に放出して処分する」ということです。大気に出てしまえば証拠は残らない。それが原因で健康被害が起こっても、です。当然これは水銀や鉛だけの話ではありません。全ての有害物質に当てはまります。

これが山本さんが指摘するPM2.5の恐ろしさ、焼却施設の抱える大きな問題点です。

そしてこんな管理体制のまま放射性物質を含む瓦礫を燃やそうと言うのです。

瓦礫を燃やせば含まれていた放射性物質の一部はPM2.5となって大気に放出されます。三条市の試験焼却でも焼却中に線量が上がり、焼却後にまた下がるという挙動が確認されています(三条市のデータでも示されています)。量の少ない試験焼却なので数値上は小さいものですが、放射性物質がPM2.5となってバグフィルターをすり抜けていたことは明らか。ちなみに新田ではまだ瓦礫を受け入れてもいない今年4月の段階で灰から90数ベクレルのセシウムも検出されたそうで、これも灰にセシウムが含まれていたということは排ガスと共に一部放出された可能性があるということになります。

瓦礫受入以前の問題!

山本さんによれば、欧米では既にゴミを極力焼却しない方向へシフトしているそうです。ここまで読んでいればその理由は明白。焼却によるPM2.5の発生が非常に深刻な健康被害を起こすことを知ってるからです。日本でもPM2.5に関する環境基準が取り入れられようとしてはいますが基準を達成する自治体はほぼゼロ。特に環境の悪い関東・関西都心部でなんとかしようと考えられたのが焼却施設への対策ではなくトラックの排ガスを規制するもの、いわゆるNox法です。近年、日本でもゴミの減量やリサイクルによって焼却するゴミの量は減っているのに減らすべき焼却施設ではなくトラックに矛先を向けるのはなぜか?ストレートに言えば焼却施設でゴミを燃やしてお金を得ている人がいて、それを失うのを恐れる人がいるということですね。瓦礫の広域処理でも受入ている焼却施設は燃やすゴミが欲しくてたまらない。人の健康や環境汚染よりもお金が大事。焼却施設を減らしている欧米でも少なからず焼却施設は作られるそうで、その時にターゲットとなるのは貧困層が住むエリア。困っている人の頬を札束で叩くのは産業や人口減に困る自治体に原発を誘致する原発利権構造と似ていますね。

 

・・・・・・この前の第4回市民主催説明会で聞いた関口さんの話もそうですが、震災瓦礫広域処理の問題は単に放射能だけの話に留まらなくなってきてしまいましたねぇ。

以前このブログでも触れたように、私は3.11以降の瓦礫ではない一般ゴミの焼却にも強い懸念を持っていましたが、いろんな事を学んでいくと、問題は3.11前からあったことがわかってきました。

これは瓦礫受入に関わらず全国全ての焼却施設に当てはまり、全ての国民が晒されている危険です。

PM.2.5については検索するともっと詳細な情報がたくさん出てきますので、より深く知りたい方はいろいろ調べてみて、ぜひ知って、考えてください。

 

山本さんからは瓦礫焼却を止めるために重要な武器となりうる「公害防止協定」についても学びましたので、それについてはまた別の記事で書くことにします。