柏崎刈羽原発の防潮壁設置工事が完了したとのニュースがありました。
福島第一原発を襲ったのと同じ15mの津波に備えてのことだと。
また、メルトダウン時に建屋の爆発を防ぐ水素を排出するためのトップベントも7基全てに設置したとも。
東電はあれだけの事故を起こしながらまだ柏崎刈羽原発の再稼働を諦めていません。
福島第一原発事故では全てが想定の範囲を超えていました。
いや、正確には想定はあったけれど現実視してなかった。
「事故は起こらない」という絵空事の前提のもとに。
原発事故の際の避難エリアがこれまでより広範囲に見直され、各地で原発事故を想定した避難訓練や避難計画の策定が行われています。
地域によっては交通インフラが充分ではなく、大規模避難が困難なところも多い。船や空路を使わなければ脱出できない地域もある。陸路の場合は原発に近づくルートを選択せざるを得ない地域もある。シミュレーションでは主要道路は瞬く間に大渋滞になり、足腰が弱かったりクルマを持たなかったりする高齢者は避難自体が非常に困難。事故が起きた時に情報をいかに素早く正確に伝えるかなどの課題も多い。訓練やシミュレーションでもこれだけ大規模な非難が非現実的だと思われるのに、本当に事故が起きた時にはまた福島第一原発事故のようなパニックになるのではないか。自治体の防災担当者も頭を悩ませています。
防潮壁を作ったり、大規模な避難計画を練ったり、なぜこんなことが必要なのか。
それは原発があるから。
原発さえなければ必要のないこと。
15mの防潮壁を作ってもそれ以上の津波が来ればアウト。以前、浜岡原発に作られた防潮壁の写真を見ましたが、それはあまりにも華奢で、高さを越えなかったにしても津波の大きなエネルギーでは容易に破壊されてしまうのではないか、逆に破壊された防潮壁が原発を襲うのではないかと不安になるもので、単に「防潮壁を作りました」というポーズを示す以上の効果は無いように感じました。
トップベントにしても、ベントするということは建屋の爆発は防げても放射性物質は放出されます。大事故に至らなくても事故そのものを防ぐものではなく、レベル7がレベル5になる程度。原発は環境中に放射性物質を漏らさないことが大前提であるはずで、「ベント=安全」ではありません。
そこまでして原発は必要なんでしょうか。
原発がなくても地震や津波は起こる。当然それらの自然災害に対する備えは必要。
しかし、2年前の事故で私たちは原発事故が起きた時にはとてつもないリスクが伴うことも学びました。
地震や津波で被災しても、そこはまた再生できますが、放射性物質で汚染された場所は再生できるまで何百年も何千年もかかります。
防潮壁を作ることも大事かもしれませんが、防潮壁なんて必要ない安全なエネルギー政策に転換することこそがもっと大事なのではないでしょうか。
ネズミ一匹でまた事故が起きかねない、そんな怖い世界とは早く決別したいものです。