ガレキについて考える

野田首相はガレキの広域処理を進めるために「被災3県を除く全都道府県に受け入れを文書で要請したい」と表明した。
また、ガレキの広域処理について「日本人の国民性が再び試されている象徴的な課題だ」とも述べました。

私は基本的にガレキの広域処理には反対。でも、本当に被災地を助けたいという「純粋な気持ち」で応援してる人を非難もしません。でもその一方で、ガレキの広域処理に反対している人も自分たちさえよければいいという気持ちで反対しているわけではないということも知ってほしい。反対している人たちは放射能のリスクをよく知っています。賛成している人たちが無知とは言いませんが、賛成の人も反対の人もガレキを受け入れることでどれだけ放射能のリスクが生じるかを充分に知った上で判断してほしいのです。

ガレキについての現状はこちらで詳しく解説されていますので、ちょっと長いですがぜひご一読ください。
(私としては「やめさせたい」よりも「知ってほしい」という意味合いで紹介致します)
全国での「安易な瓦礫受け入れ」をやめさせる「効果的な」方法とは?: DOG DAYS

 

また、こちらのブログではガレキ処理の画期的なアイディアも紹介されています。

<拡散希望>ガレキが命を守る森になる!|misaのブログ

 

広域処理だけがガレキの問題を解決する方法とは限りません。
やり方次第ではガレキは被災地にとっての資源にもなります。
多額の税金を使って広域処理しても潤うのは受け入れた自治体や処理業者。同じ税金を使うなら被災地や被災者に直接お金が落ち、より効果的に復興につながる方へ使われた方が復興のスピードも上がり、被災者の支援にもなるのではないかと考えていますがいかがでしょうか。

1年

あの日から1年になります。

今週はテレビで震災や原発事故の特別番組がいくつも放送され、たぶん明日もそういうのが多いことでしょう。

全部がそうではないけれど、見てるとなんとなく「あの震災を忘れない」みたいな流れになってるよーな印象。

でも

1年経っても何も終わっちゃいない。

我々が背負うことになってしまった長い戦いはまだ始まったばかり。

自分に何ができるのか。何をするべきなのか。今一度考えたい。

 

確実に言えるのは

「核などいらねぇ。」

 

瓦礫処理

昨日、国定三条市長が震災瓦礫の受け入れを表明しました。

震災瓦れき受入れについて|三条市長日記
http://kunisada.seesaa.net/article/256214586.html

今日、明日と、テレビ・新聞を通じて“三条市・震災瓦礫受入れを事実上表明”といった記事が駆けめぐると思いますが、一応、正確性を期すため、私の答弁要旨を紹介したいと思います。

○(宮城県、岩手県からの)災害廃棄物の受入れについては、新潟市、長岡市、柏崎市、三条市の4市において、概ねの合意形成ができる段階まで近づいているものと認識。
○受入れに際しての自主基準については、市民の皆さまのご理解を得られる範囲として検討を進めた中で、先般、新潟市長さんが議会答弁された、放射性セシウム濃度“100ベクレル/kg以下”ということが1つの判断基準として検討しているのは事実。
○ この数値については、①IAEA(国際原子力機関)のクリアランスレベル、つまり、そのまま再利用(処分)しても“放射性物質として扱う必要がないもの” として定められている数値であること、②我が国の法制度においても、放射性廃棄物に該当するかどうかの線引きとして採用されている数値であること、③今般の東日本大震災に際し、環境省が安全としている焼却灰の放射性濃度8,000ベクレルを大幅に下回っている値であること、④泉田県知事が指摘している“ダブルスタンダード(通常法制の100ベクレルと今次震災での適用基準8,000ベクレルとの乖離)”もクリアできる数値であること、から、市民の皆さま方からも十分ご理解いただける水準と思料。
○この“100ベクレル/kg以下”の災害廃棄物であれば、我々としては、通常の一般廃棄物として取り扱えるものと思料(現実に、現在の三条市の清掃センターにおいても、80ベクレル/kgが出ている状況)。
○なお、最終処分場設置の際、地元と取り交わした使用承諾書には、①県外受入れに関する条項は定められていないこと、②先に触れた理由により通常の一般廃棄物として取り扱うこと、から、現行の承諾書の範疇として捉えることができるものと思料。

なお、未だ最終結論に至っていないのもまた事実でありますので、最終的に表明できる段階になれば、改めて、拙ブログでも触れていきたいと思います。

また、私は見てませんがテレビのインタビューで国定市長はこのようにも発言していたそうです。

「セシウムが100ベクレル以下なら法律上その廃棄物は一般廃棄物に分類される。したがって、泉田知事が受け入れに難色を示している放射性廃棄物ではない。だから、今後知事が何を言ってこようと、三条市は断固として受け入れる。」

 

以前から受け入れの方向で検討されていることは知っていました。
それがいよいよ現実になろうとしています。

 

一方で札幌市の上田市長は瓦礫受け入れについてこのように述べています。

「(放射性物質が)国の基準を下回っていても受け入れるつもりはない。放射性物質は微量でも有害で極めて長寿命。十分な知識を持ち、風評被害のことも考えた上で判断してほしい」

この言葉は自治体の長として極めて妥当な判断だと私は思います。

 

焼却場のバグフィルターは放射性物質を除去できません。
セシウムの沸点よりも高い温度で焼却され、気化したセシウムはフィルターをすり抜けて煙突から大気にそのまま放出され、放出された放射性物質は自治体の境界内にとどまることはなく県境も越えて拡散されます。
セシウムが残った焼却灰の処分方法や環境への影響も定かではありません。
しかも放射性物質はセシウムだけではなく、プルトニウム等のアルファ線系核種は線量測定すらされていません(測定できない)。
国定市長は「100ベクレル/kg以下」と言ってますが、100ベクレルを1トン燃やせばそれだけで10万ベクレル、1万トンで10億ベクレルです。
100ベクレル/kgという基準も現実的に全ての瓦礫をくまなく測定はできませんから、ほとんど汚染されていない瓦礫もあると思いますが、同時に基準を超える高汚染の瓦礫が混ざる可能性もあります。

仮に放射性物質を100%回収できる焼却場があり、焼却灰も長期(100年単位で)において厳重に管理される最終処分場があるならば、燃やすことで除染できるのですからそれはどんどん燃やしていいと思います。高圧洗浄機で洗い流して土壌や河川・海に拡散させる除染よりよっぽど効果的。

でもそんなこと現段階ではできない・・・・。
こんな状態で瓦礫を燃やして問題ないなんてどうして判断できます?

福島をはじめとして東北や関東から多くの方々が避難されている新潟。
東日本であるにもかかわらず奇跡的に汚染が低く済んでいる新潟や山形・秋田などの日本海側は福島から距離的に近いこともあって、事情によりお父さんを残して母子避難されている方々にとっては重要な地域になります。
もちろん西日本の汚染の低い地域も避難者の生活や食料の供給を守るため、汚すべきではないと思います。

しかも悪いことにこの瓦礫処理事業には利権が絡んでるっぽい。

瓦礫の受け入れを表明している静岡県島田市の桜井市長は現在親族が経営する産業廃棄物処理業者「桜井資源株式会社」の元社長で、市民の反対の声に耳を傾けずに強行に瓦礫を受け入れようとしています。もし純粋に支援として瓦礫処理をするなら親族会社は入札から除外し、割増された処理費用も適正価格でやるべきだと思いますが、そんなことはないところを見ればこれが私利私欲のためと思われても仕方がないでしょう。
その他にも東北から遠く離れた西日本でも瓦礫受け入れを表明する自治体は数知れず、日本で一番福島第一原発から離れているであろう沖縄までが受け入れを表明するなんて、野田首相が「処理に関わる費用は全額国で補助」なんて後押しもあるもんだから、これはもうほとんどが「善意の名を借りた金儲け」に走ってるとしか思えません。
わざわざ高い輸送費を払ってまで沖縄で処理するくらいならすぐ近くの新潟で処理した方がはるかに効率的で安上がりですよね?(住んでる人はイヤだけど)
使われるのは全部私たちが納めてる税金ですよ?
しかもテレビや新聞で大々的に繰り広げられている広域処理のPRにも9億円もの税金が投入されているそうですよ?
9億も使える金があったら被災地でもっと別な使い方もできるはず。
まだ充分な補償を受けられていない被災者も多いってのに・・・・・。

一度放出された放射性物質は回収が非常に困難。
原子力災害の時は拡散させずにできるだけ閉じ込めるのが基本。
自治体の長はまず住民や避難者が安心して暮らせる環境を守ることを優先させた上で、住民を危険にさらさない方法で被災地支援を行うべき。
もちろんそれで利益を得るなどもってのほか。

現状では場所を選定してそこに集める以外にないと思います。
それをどこにするかは恨まれるのを覚悟で国の長である総理大臣が政治判断しなければならないでしょう。
原発再稼働なんて政治判断はいらないです。

 

瓦礫処理については武田さんの解説もあるのでこちらも参考にしてください。

武田邦彦(中部大学): 「瓦礫」のトリック・・・その危険性とトリックを正しく知ろう
http://takedanet.com/2012/02/post_740a.html

木下黄太氏の講演会にて

今日は木下黄太さんの講演会に行ってきました。

告知から数日という開催にもかかわらず150名ほどの参加者が集まったそうで、新潟県内はもちろん、福島や関東・東北から避難されている方も多数いらっしゃいました。お子さん連れのお母さんの姿が多かったのも印象的でしたね。

元々木下さんのブログは事故以降から拝見しているし、その他の木下さん同様に危険を訴えている方のブログやツイートも見ていたこともあって、木下さんが講演で熱く語られていた内容というのはこれまで私が得た知識やそこで固められていった考えをトレースするものでしたが、情報源が主にネットのテキストである私と違い、実際に足を運んで自分の耳で聞き、目で見てきた木下さんの言葉やデータは私の気持ちを確信に変えるだけの説得力を持っていました。

その中で、これまであまり表に出ることのなかった新潟固有の情報が聞けたのは大きな収穫で、もちろん注意は必要なんですけど、それでも新潟で生きていけないこともないというのもわかりました。

しかし、その一方で認めたくない現実を突き付けられたのも事実。いや、実際には木下さんはブログで再三訴えてこられていたので頭の中では認識しています。ただ、生の言葉で聞かされるとそれがよりリアリティを増すと言うか、心に突き刺さると言うか・・・・。正直、これから直面するであろう現実を想像するとゾッとします。

今回の講演、集まられた皆さんはそれなりに危機感を持った方がほとんどだったと思います。でも、ホントはそうでない人にこそ聞いて欲しい内容だったと思いますね・・・・。全面的に木下さんを信用しろとかそういうことではなく、ちゃんと現実を認識する、という意味で。私が過去にブログで書いて非難を受けた事柄についても考えは同じで、じゃあ「自分は間違ってなかった、うんうん」ということではなくて、やはりそれはみんなが認識するべきことで、認識した上でどう行動するか、ということだと思います。木下さんはかなり悲劇的な予測をストレートな言葉で発してました。そこから目を逸らしては避けられたことも避けられないかもしれません。

現実は思っているよりも厳しいですよ。

・・・・・なんてこと書いてるとまた「放射脳」とか「洗脳」とか言われるんだろーなー。

木下黄太 講演会のお知らせ

 

「放射能防御プロジェクト」木下黄太さんの講演会が新潟で開催されます。

福島原発事故について深い見識をお持ちで、放射能防御プロジェクトを進めているジャーナリスト木下黄太さんの新潟講演会が開催されます。
福島県からの自主避難者、母子避難者を数多く受け入れている新潟。
よりきめ細かなサポートをどのようにしていけばよいか、新潟で放射能とどう向き合っていけばよいか、これからの新潟のあり方を考えます。

会場は新潟市東区の東区プラザ(東区役所・旧イトーヨーカドーのところです)、多目的ルーム1、無料の駐車場あります。
参加費1000円かかりますが、福島県等から避難されている方は無料で参加できます。
参加には事前申し込みが必要ですので、上のチラシに記載の電話番号またはメールアドレスまでご連絡ください。

木下黄太さんのブログはこちら ⇒ 放射能防御プロジェクト 木下黄太のブログ「福島第一原発を考えます」