試験焼却に断固反対します

新潟市が震災瓦礫の試験焼却を早ければ11月中旬に行うと発表されました。

篠田市長は先行して行われた三条市・柏崎市の試験焼却で焼却灰セシウム濃度が受入基準の100ベクレル/kgを下回ったことを受け、
「全国で最も厳しく設定した受け入れ基準が十分に達成可能であることが確認できた」
「反対や慎重意見もあるが、総合的に判断した。測定データの提示により、市民の不安軽減につなげたい」
とコメントを出しました。

 

・・・・・・いずれこの発表があることは想定してはいましたが、正直怒りと失望でいっぱいです。

まず、「全国で最も厳しく設定した受け入れ基準が十分に達成可能であることが確認できた」と篠田市長は言いますが、現時点で公表されている試験焼却のデータは焼却灰のセシウム濃度と周辺の空間線量だけで、先日の記事でも書いたように濃度だけでは安全性を判断する根拠とはなりません。焼却灰の基準は混焼で薄めて燃やせば達成できることは試験せずともわかることで、排ガスやセシウム以外の核種や有害物質等のデータが出ていない段階(市が既に把握してるかは不明)で焼却灰の基準だけ見て安全だと判断するなら試験焼却そのものが意味を成しません。そしてそんな不十分なデータだけで「総合的に判断した」と言うなら新潟市で試験焼却しても同様に混焼で薄めた焼却灰のセシウム濃度だけで篠田市長は本焼却にGoサインを出すということで、これで市民の不安軽減なんてできるんでしょうか。むしろ不安は増すばかり。しかも本来であれば焼却灰以外のデータも出揃った段階で判断すべき試験焼却実施をこのタイミングで発表したのは、県知事選挙期間中で発言に制約のある泉田知事に横やりを入れられないうちにという姑息さも感じます。

また、篠田市長はこれまで70回以上開催された説明会に一度も顔を出しておらず、説明会で出た質問・要望でも市民から寄せられた公開質問状でも未回答のものが多く、試験焼却については環境部に丸投げと散々逃げ回った上で試験焼却実施だけは自ら判断という、まるで市民と向き合う気のない独裁状態。これだけ重要な判断を自ら下し、その上で市民の不安を軽減したいと言うのなら、篠田市長は市民と直接対話の機会を設け、市民の生の声を聞くべきで、それをせずに焼却場周辺地域と結んだ公害防止協定を無視してまで焼却を強行する権限が市長にあるのでしょうか。

焼却灰の処理も不安がいっぱいです。柏崎市では既に最終処分場に袋詰めにされた焼却灰が埋められましたが、本焼却からは袋に入れずそのまま埋め立てるのだそう。今後何十年・何百年も放射線を発し続ける総量で膨大な量になる放射性物質が袋詰めでも大丈夫なのか不安なのに、そのまま埋めるというのは危機管理意識があまりにも欠けていると思わざるを得ません。当然新潟市も同様のはずで、太夫浜・赤塚埋立処分場で環境汚染が起こるのは否定できず、赤塚での基準値超え鉛の件を考えても市に適切な管理ができるとも思えません。

震災直後に見積もられた量より瓦礫の実量は減っています。被災地では瓦礫を活用した防潮堤の計画も進められ、防潮堤に必要な瓦礫はむしろ不足しています。もう被災地ですら瓦礫を燃やす必要性はなくなっているんです。それを阪神淡路大震災の数倍の単価で燃やすために全国で瓦礫の奪い合い。山形でも関東でも静岡でも北九州でも健康被害の報告は跡を絶ちません。市民の声を無視してまで瓦礫を燃やすのはなんのためでしょう?

新潟には多くの被災者が避難もしています。放射能から逃れるために大変な思いをして新潟に来たのに、避難した先でまた放射能の恐怖にさらされる被災者に対して新潟5市は何も感じないのでしょうか?

新潟は瓦礫ではなく人を受け入れ、新潟の子供たち・農業・自然環境を守ってください。

そして、新潟にお住いの皆さん・避難者の皆さんは5市長の暴挙に対してNoの声を上げてください。