福島県内の子供一人が甲状腺がんを発症してるという報道が昨日あり、今日の新潟日報朝刊でもそれについての記事がありました。
で、その件についてお二人の見解が載っていましたので書き起こしてみます。
崎山比早子・元放射線医学総合研究所主任研究官
東京電力福島第一原発事故と因果関係がないと言うなら、被ばく線量を公表すべきだ。非汚染地域の検査結果とも比較しないといけないが、まだそのデータがなく、(事故の影響について)何とも言えない。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の際は、ホルモンや免疫系の異常も出た。福島でも、甲状腺だけでなくこうした項目も全員を対象に調べるべきだ。
鈴木元・国際医療福祉大教授(放射線疫学)
現在見つかる甲状腺がんは原発事故の影響ではない。放射線で染色体異常が起き、がん化の道をたどり始めたとして、それがものすごい細胞数になり、検査で検出されるサイズになるには通常5年から6年はかかる。事故からの1年半では短すぎる。事故前からがん化し、少しずつ増えていたのを今見つけたということだろう。
どうでしょう。私からすると崎山氏の言ってるのが正論じゃないかと思うのですが、もちろん現時点で福島第一原発事故が原因だと断定はできないにしても、鈴木氏の「原発事故の影響ではない」と言い切っちゃうのもどうかと思います。また、今回の検査担当である鈴木真一福島県立医大教授は「原発事故による被ばく線量は内部、外部被ばくとも低い。チェルノブイリ原発事故の例からも、事故による甲状腺がんが4年以内に発症することはないと考えている」と説明しており、同時に福島県も「原発事故と発症の因果関係を否定」だそうです。
これで福島県内でお子さんをお持ちの親御さんは安心できるのでしょうか。
何でもそうですがリスク対策は重要です。原発事故も安全神話の元にずさんな安全対策しかとられず、津波による電源喪失は事故前から指摘されていたのに「安全です」の一点張りであの結果を招きました。リスクを充分考慮した上で何もなければそれはそれでいいんです。何かあった時のための対策なのですから、わずかな可能性も軽視することなく最悪を想定して対策するべき。それを「事故とは関係ない」と一蹴するなんてやってはいけないことでしょう。
もう「想定外」は通用しないんです。
原発事故による健康被害を最小限にするよう真摯に取り組んでほしいと願います。