被曝リスクを考える

曖昧なままただ不安になっていても仕方がないので自分自身のためにもちょっと整理、つかメモ代わり。
もし計算や根拠が間違ってるという方はぜひ遠慮なくご指摘ください。
私も間違った認識のまま生活したくありませんし、間違った情報を伝えたくはありませんので。

 

事故後、年間の被曝上限が20mSv、1時間あたりでは3.8μSv/hという数値が出てきてますが、3.8×24時間×365日で計算すると33mSvになっちゃうのに、これってどういうこと?と思っていたら、24時間のうち屋外にいるのが8時間、残り16時間を屋内で過ごす、木造家屋の場合はγ線の遮蔽効果が60%(つまり屋内は外の40%)と仮定して計算するんだそうです。

20mSvは20000μSv、これを365日で割ると約54.8μSv。
屋内での16時間が40%、外での8時間が100%とすると、16×0.4+8で14.4。
これで一日54.8μSvを割ると、54.8÷14.4=3.8055・・・で、約3.8μSv/hという数字が出てきました。

なるほど、これで計算方法は納得。

でもこの年間20mSvという数値は大人も子供も一律に当てはめるのは高すぎると福島県民から抗議の声もあり、今は平時の上限である年間1mSvを目指す、という方向に動いているようですが、相変わらず福島県が発表する文書には「3.8μSv/h以下だから問題ない」みたいな書き方で、理想と現実は大きく乖離してるのが現状。また、木造家屋で60%の遮蔽効果ってのもなんだか曖昧で、放射性物質の種類や建物に付着した量・場所などで違うでしょうから、なんだか放射能を撒き散らした側に都合のいいように計算されているような気がしなくもありません。

ではちょっとパターンを変えて計算してみましょう。

平時上限の年間1mSvに抑えるとしたら単純に先ほどの数値を1/20にすればいいだけなので3.8÷20で0.19μSv/hになり、普段生活している環境での放射線量が0.19μSv/h未満であればほぼ平時と変わらない生活が送れると言えるでしょう。
では、仮に家屋の遮蔽効果が1割程度だったとしたらどうでしょう。
先ほどと同様に計算すると、(1000μSv/h÷365日)÷(16×0.9+8)で約0.12μSv/h。
やや下がりましたがあんまり大きく変わらないですね。
とすると、概ね0.1μSv/h以下であれば問題ない、0.19μSv/hを超えてくると環境によっては注意が必要になってくる、こんな感じでしょうか。

新潟県が発表している新潟市西区のモニタリングポストの数値は0.051μSv/h。
モニタリングポストは高い位置にあるのでこの数値を鵜呑みにするのに私は懐疑的なんですけど、地上1mでもほぼこれくらいと仮定して先ほどと同じ計算でいけば0.051×14.4×365で年間約268μSv(0.268mSv)。
倍にしても平時上限1mSvの半分ですからあまり問題はなさそうです。

ではまた別の見かたとして、普段新潟で生活してたまに福島に行くとしたらどうでしょう。
年間1mSv=1000μSvから先ほどの268μSvを引くと残りが732μSv。
行った先が20mSv上限の3.8μSv/hだったとしても732÷3.8=約192時間でおよそ8日間、3.8μSv/hの半分、1.9μSv/h程度であれば16日間までは年間上限1mSvは超えませんから、2泊3日程度の旅行を2~3回しても年間1mSvは超えないかもしれません。

 

なぁんだ、やっぱお前が心配しすぎなんじゃん。そう言われそうですね。

はい、上の計算だけならそう言われても仕方ないんですが、ここまでは事故直後からテレビで「心配ない」と連呼していたインチキ御用学者が言ってたのと同じことなんです。

上の計算には「内部被曝がまったく考慮されていない」。これが大きな問題なんです。

 

御用学者がよく飛行機やレントゲンを例に比較していました。
http://radiation.yahoo.co.jp/こちらの資料によれば、飛行機で東京~ニューヨーク間を往復すると0.2mSv。
胸部レントゲンを1回受けると0.06mSv、胃部でも0.6mSv、CTでも5~30mSv。
日常的に飛行機に乗ったりレントゲン検査を受けても健康に影響ないでしょ?だから放射能で多少被曝しても問題ないですよ。これが御用学者の言い分です。

でも考えてみてください。
飛行機に乗れば宇宙からの放射線に晒されますが、放射性物質が機内に入ってくることはありません。
レントゲン検査を受ければX線は体を通るけど、放射性物質まで体に入るわけではありません。
つまり普通の生活で受ける放射線で内部被曝することはないんです。

原発事故によって懸念されているのは、もちろん外部被曝もしないにこしたことはないんですが、大気中や食物などで内部被曝をする可能性があることなんですね。

放射線が測定されるということはそこに放射性物質があるということ。地面に降下したものもあれば空気中を漂っているものもあるでしょう。川や海などの水中に拡散しているものもあります。当然目には見えないし臭いもありませんから、目の前を飛んでいてもわかりません。線量の高い地域ではそれだけ漂っている放射性物質の量も多いでしょうから、マスクをしていなければ知らず知らずのうちに口や鼻から吸い込んでしまう可能性があります。また、水や食品に放射性物質が付着していればそれを口にすることで体内に取り込まれることになります。内部被曝してもそれが微量ですぐ体外に排出されればまだいいのですが、体内に留まってしまった場合はいくら外部被曝量が少なくても健康に支障が生まれる可能性がグンと高くなります。しかも一般に計測されている放射線はγ線各種のみでα・β線各種はほとんど計測できていません(市販のガイガーカウンターで測れるのはγ線のみ)。福島県内では相当線量の高い地域が多いので、そういう地域では非常に危険なプルトニウムが飛んできている可能性も否定できません。

そして最も怖いのは、それらの放射性物質が実際に存在するのか、どれくらい飛んできているのか、食品がどれだけ汚染されているのか、どれだけ体内に取り込まれたのか、などなど、全てが曖昧でわからないということなんです。
わからないなら「安全」と判断するより「危険かもしれない」と思う方が賢明。
クルマの運転と同じですね。
子供が飛び出してくるかもしれないから徐行したり一時停止するわけで、絶対誰も出てこないと勝手に判断して交差点を猛スピードで走る人はいないでしょう。
それを飛行機やレントゲンと比較して「安全だ」「問題ない」なんて判断するのはナンセンスの極み。
信じてる人は考えを改めた方がいいと思います。

まして子供のこととなれば尚のこと。
体も小さく、成長期で細胞分裂が活発な子供は大人よりはるかに高い影響を受けます。
だから外部被曝も内部被曝もできるだけしない方がいいに決まっています。
線量が高くないから大丈夫だろうと連れて行った先で子供が放射性物質を吸い込んでいたらどうしますか。

なので、

内部被曝の可能性が高まる線量の高い地域には子供を連れて行かない。
放射能汚染の可能性がある食品は子供に与えない。
線量の高い地域から子供を避難させる。

など、極力被曝のリスクを減らすのが親としての努めではないでしょうか。

 

単にヒステリックに危険だ危険だと騒いでいたんじゃないんですよ。

 

あ、繰り返しますが間違っているところがあればぜひ指摘してください。