脱原発・再生可能エネルギーへ転換の機運が高まっている(よね?)中、まだ「原発は必要だ」という人が後を絶たず、そういう原発推進派(と言うより再生可能エネルギー否定派)がよく指摘するのに「自然エネルギーは不安定」という点があります。
みなさんご存じの通り、太陽光発電はお日様が出てる時しか発電できませんし、風力発電も風が吹いている時しか発電できません。だから、いい時はいいけどダメな時はまるでダメなソーラーパネルや風車をたくさん設置したところで原発の代わりにはならないというのは確かにその通りで、これには「電気は貯めておけない」という根本的な問題が起因しています。
震災によって福島第一原発事故が起き、計画停電が行われるようになった頃から節電への意識が高まって夜間の照明等も控えられるようになりましたが、ここで誤解しちゃいけないのはいくら夜間の電力を節電しても日中使う分に回すことはできないということ。もちろん総使用量を抑える意味で夜間の節電も大事ですが、ピーク時間帯での停電を避けるには不足分を補うだけ発電量を増やすか使用量を減らすしか方法はないんですね。じゃあ蓄電できる設備を作ればいいじゃないかという話になりますが、クルマや一般家庭用の小規模なものはともかく、何万キロワットもの電力を蓄える設備というのは現状では現実的ではない。車体いっぱいにバッテリーを積んだEVでも200km程度しか走れないことを考えればよくわかると思います。
そこで登場するのが今回取り上げる「R水素」です。
このR水素、昨日書いたいしだ壱成さんの記事でも取り上げられていて、私はそこで初めてR水素という言葉を知りました。
さてここでちょっと理科の授業です。
水素の元素記号はHですね。酸素の元素記号はOです。水素と酸素がくっついたものが水で水素2個と酸素1個でH2Oになります。つまり水素は酸素とくっついて燃えることで水になり、その際の化学反応で電気と熱を発生させます。酸素は大気中にたくさんありますから、あとは水素があればエネルギーを生みだすことができるわけで、これを応用したのが燃料電池や水素エンジンです。水素を作るにはこの逆で水を電気分解で水素と酸素に分けるだけで、元となる水は島国日本にはまわりにたくさんありますからそれこそ資源は無尽蔵です。
ここで勘のいい方はお気づきかもしれません。そう、水素を作るにも結局は電気が必要なんですね。それなら水素を作る電気をそのまま電力に回した方が効率的じゃんと思われるでしょう。確かにその通り。ただ、ここでのポイントは「水素は貯蔵できる」ということなんです。つまり、貯めておけない電気を一旦水素に変換することで結果的に電気を貯めておけるということになるわけで、貯蔵できる水素なら作る電力は不安定な自然エネルギーでもできる。日中は太陽光で発電し、その余剰分で水素を作り、夜間は水素で発電する、そんな暮らしも不可能じゃないんですね。
理屈的にはシステムさえ構築してしまえば無尽蔵にある天然資源の水・大気・太陽光・風で無限にエネルギーを生みだすことができるということになり、正にこれがR(Renewable)水素なんです。
これってすごくないですか?
一長一短ある自然エネルギーもいいところをうまく活かしてベストミックスすることで原子力や火力に頼らないエネルギー社会が実現できるかもしれない。R水素は大きくその可能性を持っているんじゃないでしょうか。
R水素については下記サイトで詳しく解説していますので、もっと知りたい!という方はぜひ見てください。