不適切にもほどがある

昨夜最終回だった「不適切にもほどがある」

いやー、おもしろかった。最高におもしろかった。ここ数年でこんなにおもしろいと思ったドラマはなかったと思う。

 

1話は見逃して、その後にSNSで話題になってたのでTverで見て、そこからは見る度にハマっていきました。

主人公の小川さんが暮らす時代は1986年(昭和61年)、私は娘の順子と同世代なので、劇中に登場する昭和のアイテムや世相が懐かしくて、最初のうちはそこにツボってたのが、途中で小川さんと順子が阪神淡路大震災で亡くなるというまさかの展開になったあたりからは、懐かしい昭和ネタ、いきなり始まるミュージカルシーン、意外性を突くゲスト、深く練られた伏線・オーマージュ・パロディなどなど、ネタ満載で進み続けるブッ飛んだコメディのベースにシリアスな運命があり、さっきまで笑ってた5秒後に泣く、みたいなジェットコースターのようなドラマで、おもしろくもあり、感動でもあり、考えさせられもしました。

キャストが全員がそれぞれスピンオフ作っても成り立つくらい奥が深いキャラクターに仕立てられていたのもよかったし、もしドラマがコケたら黒歴史になるんじゃないかって恥ずかしいシーンでも全力で演じてたのもよかった。ミュージカルシーンを見てても役者もスタッフもおもしろいものを作ろうとホンキで取り組んでホンキで楽しんでいるような雰囲気が伝わってきて、だからこそ見てるこっちも引き込まれてしまった気がします。

最近のドラマは死んだり負けたり別れたりみたいな、必ずしもハッピーじゃない終わり方をするものが多くて、「不適切にもほどがある」でも小川さんと順子が亡くなるのは規定ではありながらそれを直接描いて終わるわけではなく、もしかしたらタイムトラベルで運命変えるかもしれない、いやいや小川さんはそれをわかった上で昭和を生きていくんだ、それでも二人が亡くなった未来では順子の娘である渚が母との思い出を胸に生きていくんだ・・・・なんて、死がわかっていながらも後ろ向きばかりじゃないところに何だか今回は救われたような気がしました。

で、毎回ドラマの最後に表示される注釈、いつもは「1986年当時の~~~」と書かれているのが最終回では

「2024年当時」と変わっていて、この先何年・何十年か経ってからこのドラマを見たら、2024年視点で1986年が不適切であったように、2024年も不適切だったと思えるように未来がいい方向に変わっていってくれたら、という気持ちが込められていたのかもしれません。

なんかもう、ネタの仕込みが多すぎるしトリッキーだし完敗って感じです。

最後は続編じゃあるんじゃないかとも受け取れる終わり方で、個人的には続編やるならぜひやってほしいと思いますが、ガンダムみたいにファーストがあった上でその数年後や同時代のスピンオフ、別視点など、無限に作れるんじゃないかって気がします。

 

あー、もう一度1話から通しで観たい!

 

不適切にもほどがある!シナリオ本