安保法案可決で思うこと

まぁ、こういう結果になることはほとんどの方が予想してたわけで、その通りになっただけのことではあります。

結局、多数を占めてる勢力に多数決では勝てない。

不甲斐ない野党への批判もあると思いますが、与党にこれだけの議席を与えたのは我々の一票であり、全ての有権者(もちろん投票を棄権した人も含む)の責任であるわけです。

選挙権を持たず、さらにこの安保法案によって人生を左右されるかもしれない世代に対しては申し訳なく思います。

 

しかし、今回の件で様々なことを学び、様々なことに気付かされたのも事実。

 

まず、今回の件で最も印象的だったのがSEALDsに代表される一般市民によるデモ行動。

これまでにも原発再稼動や沖縄基地問題などでデモは行われていましたが、国会前に数万人もの人が連日押し寄せるなんて規模のものはありませんでした。国会前だけでなく全国各地でデモや抗議行動が行われ、今まで政治に無関心だと言われていた人たちが声を上げ始めた。これはとても大きな変化だと思います。

残念ながら今回はその声が採決を変えるにまでは至らなかったものの、政治を取り巻く環境はもう大きく変わり始めている。おかしいものにはNo、間違ってるものにはNo、そういう声を上げることが少し恥ずかしいと感じられていた昨今から、声を上げる大切さに多くの若者が気付いた。安保法案が可決されたことでデモはトーンダウンしていくことでしょう。しかし、これで終わったと思っている人ばかりではないはず。来年の参議院選挙に向け、自分たちの声を聞き、政治に反映させる人が選ばれるように、そして今回自分たちの声に聞く耳を持たなかった人が国会から去るように、彼らの活動は続いていくはず。

もしかしたら彼らの中から国政に参加する者が現れるかもしれない・・・・そんな淡い期待と一緒にもっと多くの人たちが政治に興味を持ってくれることを願っています。

 

合わせて象徴的だったのが与党の傲慢さ。参議院特別委員会でのあの騒ぎは報道で多くの方が目にしたことでしょう。地方公聴会の報告もせず、正式な手続きを経ないまま暴力的に行った採決は、与党は野党3党の合意も得ているから強行ではないと言いますが、あれを強行採決と言わず何と言うのでしょう。それ以前に安保法案が審議入りしてから安部政権は納得する説明をせず、100時間審議したからと形式的に充分と言い放つのは最後は数で勝てるという腹があるからこその傲慢ぶり。

昨夜の採決でも国会の外で多くの人たちが声を上げ、その声を耳に醜態晒すような抵抗を続ける野党をあざ笑う与党議員が多数いました。国論を二分するような重要法案で、これだけ反対や疑問の声が多く上がっている事案であるならば、賛成の与党も真摯に審議に向き合い真剣に議論するべきで、それを鼻で笑っているような態度は賛成反対問わず国民に対しての侮辱と言ってもいい。最後は数、結果は見えている、例え国民の99%が反対したとしても全ては与党の手に握られている、そういう驕りの上にあぐらをかく与党議員。

安保法案が可決したことで賛成の人は安堵してることでしょう。しかし今回思い知らされたのは安部政権はハナっから国民の声を聞く気などないということ。安保法案が可決したのは賛成の声に後押しされたからではありません。安保法案に賛成した人が今度は反対する議案が出たとしても、その声は黙殺されるということです。経済・雇用・社会保障・エネルギー問題・etc・・・・全て安部政権によってアンダーコントロール、Noというヤツはシカトです。賛成したあなたを守ってなどくれません。

更に安部総理だけに限らず自民党・公明党議員も同じ。衆議院での採決でも、今回の委員会や参議院での採決でも、国民の声に応え、反対とまではいかなくともせめて今国会での採決は見送るべきじゃないかと造反する気概のある議員が一人や二人出るかもしれないと限りなくゼロに近い期待もあったんですが、造反も棄権も離党も一切ナシ。全員安部総理のイエスマンであることを自ら証明しました。かつては自民のブレーキ役と言われていた公明党もブレーキどころか安部総理の暴走を加速させるアクセルと化しており、支持母体が見限るのもムリはありません。

今の自民党議員に政治家としての信念も人間としての温情もないことはよくわかりました。彼らはただの駒でしかないということを理解した上で、次の選挙では誰に投票するべきか考えましょう。

 

そして野党。経過を見ていた人にとって往生際の悪い悪あがきとも見られたかもしれない抵抗。しかし数で劣る野党ができる抵抗策は限られていて、その中で精一杯反対の声に応えたのは素直に評価したいと思います。特にNHKで日中ずっと中継された委員会での牛タン答弁はこの安保法案の問題点をおさらいするような内容で、タイミングとして既に遅かったとしても、これまで内容をよく聞いてこなかった人の耳に届いたことは意味があったし今後にも繋がるのではないかと思います。

中でも本気を感じたのは山本太郎氏。山本氏については3.11後からずっと見てきてアンチが多いのも知っていますが、あの議場の中で本当に反対してる人の声に誠心誠意で応えていたのは彼だけだったのではないでしょうか。一人牛歩なんて無意味なパフォーマンスと受け取られようが、それでも彼のあの行動に声援を送っていた人がたくさんいたのも事実。他の議員とは根本的に違う強さ(と同時に弱さも)を持っています。

ただ、残念だったのがあの喪服と焼香パフォーマンス。私は基本的に彼を支持するし、あの行為の意図も知ってるけれど、国会という場でする行為としては不適切だったと思わざるをえません。ホンキで叩き潰したい相手であっても、そこは議員としての礼節を守るべきだし、守らないのは最低最悪のアイツと同じレベルに自分を陥れることになる。あの行為はリアルタイムであってもメディアによる切り取りであっても快く思わない人は多いと思うし、実際SNSでも多くの批判を目にしました。私は常々思います。議員としての本質ではなく、どうでもいい揚げ足取りのような失言やスキャンダルで失脚する議員のなんと多いことかと。不透明なお金や黒い癒着ならば問答無用で去っていただくところですが、こういうつまらないことで彼に消えてほしくはない。あれも彼らしさではあるかもしれないけれど、自分が多くの期待を背負っている自負を持って万人に支持される政治家になってほしいと切に願います。

あと話がちょっとズレますが、法案賛成議員の顔写真を印刷した紙を地面に置いて踏みつけるという行為が国会前に集まった市民の一部であったそうですが、これも山本氏の焼香と同じく反対の立場であっても見ている人にとって気持ちのいいものではありませんので控えるべきだと思います。

あとは民主党。衆議院で枝野氏が2時間近くの牛タン演説を行い、その内容は至極真っ当で多くの評価を得ていたようですが、かつて民主党が与党の座にあった時に起きた福島第一原発事故での棄民とも言える対応をしたことを私は忘れていません。枝野氏の「ただちに影響はありません」は結果としてしなくてもいい被曝を多くの国民に強い、その後の被曝の受け止め方をも大きく左右した言葉で、当時の菅内閣メンバーはいずれ断罪されるだろうと思っている私にとっては「お前が言うか」という印象しかありません。

意外なのは共産党。今回の安保法案可決を受けて、今後は民主や維新と選挙協力をしていくとのこと。共産党は例えば原発が争点になる選挙でも再稼動反対で自公候補に対抗してきたんですが、同じく再稼動反対の他党候補と票を割って結果共倒れというパターンが非常に多く、脱原発派にとって微妙な存在でした。しかしここにきて他党との選挙協力に方向転換したことで少なくともこれまでの共倒れを回避し、与党候補に勝てる可能性が高まりました。ただ、共産党も他党もヘンにプライドが高い人が多かったりするのであまり過剰に期待はしない方がいいかもしれません。

 

最後に安保法案そのものについて。

私は基本的に今でも安保法案には反対ですが、賛成する人たちの意見を聞いてみれば、汚い言葉で罵倒ずるばかりの人も多い一方で理論的に高い知識を持って必要性を説いてる意見もあり、思わず同意する部分も少なくなかったりします。国防は大切だけど戦争には反対。安保法案に賛成の人だって誰かを殺し誰かに殺されるのを望んではいないし、反対の人だって武力を一切持たない丸腰でいいと思ってるわけじゃない。それは安保法案に賛成か反対かという両極ではなく、その間のどこかにこれからの日本として見据える方向性が見出せるんじゃないかという気がしました。だからこそ、賛成反対双方から今国会での成立はまだ早いという世論調査の結果が出てるのだと思うし、できることなら与党側も多少は譲歩して継続審議としてほしかった、そう思います。

 

 

・・・・と、思ったことを思ったままに書いてしまいましたが、ここ数日で非常に気疲れしたのでブログで政治ネタを書くのはしばらくお休みしたいですね。

せっかくのシルバーウィークだし。

このブログ読んでる人はこういうネタ好きじゃないだろうし。

難しいことは一時忘れて、クルマやバイクで楽しいことだけ考えたい。

 

あ、それでも連休明けたら忘れるバカではありませんよ、安部総理。

国民ナメんな。

 

 

あ、せっかくなんで最後に笑えるの貼っときます。

https://twitter.com/tachu_nc11/status/644421732745396224