たまにはお仕事のお話。
私がお客様からのご依頼でホームページを制作する際、当然ながらお客様のご要望に沿うようなホームページを作るわけですが、それは決して何でもホイホイとお客様の言う事をきくということではなく、時にはお客様のご要望とは異なる形をご提案することもあります。
ホームページを作る目的は何か。
ホームページを見たことで、お問い合わせをいただいたり、実際にお店に足を運んでいただいたり、商品・サービスをご購入いただいたり、ビジネスサイトであればビジネスのプラスになる効果を生むのがホームページの役割です。
そのため、私にとってもお客様はもちろんご依頼主ですが、お客様にとってのお客様はエンドユーザーになるわけですから、例えご依頼主のご要望通りのホームページができてもエンドユーザーに魅力的に映らなければ意味がないわけです。
ホームページの発信者側が伝えたいことと、ホームページを見る人が望むことは、必ずしもイコールとは限りません。
ウチでは歯科医院様のホームページをよく制作させていただいてますが、歯科医院様からはよく自費診療をアピールしたいという声をいただきます。保険診療より利益率が高いのですからそれは当然の声ですね。しかし、これから歯医者に行こうという方が全て自費を望むかといえばそうではなく、保険の範囲で治したいという方も多いでしょうし、それ以前に「ドコにあるのか」「何時までやってるのか」「電話番号は」という基本的な情報を求めてホームページを訪れる方も少なくないわけです。
今すぐ電話して予約取れれば急いで行きたい、という方に「インプラントとは・・・・」なんてまったく不要な情報でよね(笑)
なので、まずは一番求められるであろう情報を一番目に付くところに配置した上でPR的な部分を付け足していく、というような形でデザインを決めてことがウチでは多く、私にとってのお客様であるご依頼主のご要望よりも、むしろエンドユーザーがどう受け取るかに比重を置いて設計・デザインしています。
「言われた通りに作ってりゃいいんだ」という方にはめんどくさいデザイナーかもしれませんけどね(笑)
でもそれが最終的にお客様の利益になると思いますので、基本的なスタンスとしては今後もこの形で行かせていただきます。
で、前フリが長くなりましたがここから本題。
上記の理由により、基本的にエンドユーザー目線でホームページを作るわけですが、ホームページ制作の際に意見が分かれることが多いのがメールフォームです。
ユーザー目線で考えればネット上にホームページを出すならばネット上で問い合わせもできてしかるべきでしょう。ショッピングサイトでメールが送れないなんてところがあったら怖くてそこから買い物なんてできませんよね。
そのため、基本的にはメールフォームを設けることをお勧めしています。もちろん電話番号も載せるし、イマドキならLINEを選択肢の一つに加えるのもアリでしょう。ショッピングサイトでの支払い方法のように、選択肢は多い方がユーザーにとっては望ましいのです。
しかし、全てのお客様がメールでのお問い合わせに満足に返答できるとも限りません。
特に歯科医院においては、簡潔に答えられるような問い合わせならすぐに返信もできるでしょうが、口の中の症状についての問い合わせだとメールで答えるというのもなかなか難しいケースが多い。患者さんもメールの文字で症状を正確に伝えるのは難しいだろうし、それを歯科医院側が正しく把握するのも難しい。専門用語も多いし、表現が曖昧になることも多い。せめて電話ならニュアンスでわかるところもあるのかもしれませんが、最終的な診断は実際に口の中を診ないとできないのですから、結局は「予約して来院してください」としか言えなくなってしまいます。
歯科医院様からのこういう声は実際に多くて、ホームページを制作する最初の段階でメールでの問い合わせに答えるのはムリと言う先生もいらっしゃいますし、メールフォームを設置したはいいが診ないとわからないような相談を延々と繰り返し結局来院せずに聞き逃げというケースが続いてメールフォームをやめるというパターンも度々あります。
ユーザーにとってホームページ上からメールで相談できるのは便利。
しかし、診療に差し支えるほど負担になるのであれば本末転倒。
双方の利便性やメリット・デメリットを考えて制作する私にとっては、ここでどうするかというのは難しい判断だったりしますが、やはり本来の業務に支障が出てはいけませんので、ユーザーの利便性を多少犠牲にしてもメールフォームを閉じるという選択をせざるをえない場合も多々あります。
このあたりのバランスって、とても難しいですね。
あとは問い合わせをするユーザー側にもリテラシーを持ってほしいところ。
ウチにもよく聞き逃げパターンのお問い合わせがありますが、世の中そんなにヒマな人ばっかりじゃないんだからねっ(笑)