新潟市の車解体工場跡地で高線量検出

新潟市西蒲区の1万1800平方メートルという広い自動車解体工場跡地に置かれたプレスされた1台分の自動車スクラップから約2m離れた敷地境界周辺で空間線量率が0.3μSv/hの放射線が検出され、新潟市は隣接する道路の一部を通行規制。それ以外の場所は0.05~0.07μSv/hで県内の通常測定範囲内。跡地は新潟自動車リサイクルの敷地だったが2012年2月に工場を整理し競売へ。前所有者もこの自動車スクラップを業者に持ち込んだところ放射線が検出されたため処分を断られ、やむなくこのスクラップだけを置いて競売にかけられたとのこと。入札広告には「地震が発生した地方から仕入れた自動車だということが後から判明した」と書かれていたが具体的な地域は不明。この競売の落札者も同様にスクラップを処分しようとして放射能汚染のため断られたことから新潟市に報告し、市による測定が行なわれた。

 

これは氷山の一角でしょう。

震災から数ヶ月経った頃に解体業をしている知人からは福島ナンバーの車は安く手に入ると言って喜んで買ってる業者がいるという話を聞いているし、福島ナンバーだと売れないから一旦他県で登録して搬出元を隠蔽する業者が横行しているというのはよく知られた話。金物産業が盛んな三条市には福島から金属くず(車両も含まれている可能性アリ)がトラックに山積みになって持ち込まれていたそうだし、福島から仕入れたクルマの線量を下げるために一生懸命洗車していたパキスタン人の業者が2名亡くなったというのも2011年の夏頃に情報が入っていました。

瓦礫のように自治体レベルで何らかの手続きの上で持ち込まれるものについてはある程度チェックできても、民間レベルで好き勝手やってるモノについてはチェックのしようがない。クルマに限らずあらゆる汚染物が全国にバラ撒かれていってます。ご存知のようにセシウムは金属や樹脂・コンクリートなど、一度固着したものはブラシでこするくらいでは除染できず、仮に取り除けても取り除いたセシウムを回収しなければ環境に残ります。高線量地域で住宅の除染が行われていて、屋根をデッキブラシでこすって洗い流す様子はニュースで見たことあるでしょう。あれをやっても結果としてさして線量は下がらず、下がってもまた周囲から飛んできて再度線量が上がるの繰り返し。洗い流した水は周辺の土壌や河川を汚染し、除去した土も行き場がありません。だから本来であれば汚染されたモノはそこから動かすことなく置いておく以外に方法はありません。チェルノブイリで強制退去させられた住民は写真1枚ですら持ち出すことを禁じられたのです。

しかし当時の民主党政権はそういう規制を一切行わなかった。

 

今回の件で新潟市は空間線量0.3μSv/hで通行規制を行っています。0.3μSv/hは遮蔽等を加味しない単純計算で年間では2.6mSvを超える線量です。しかし、新潟市で規制される線量をはるかに上回る線量の地域で人が住み続けさせられてる現実を忘れてはいけません。新潟で規制されるのに一方ではそこに住めと。場所が違ってもそこにいるのは同じ人間なのになぜ対応が違う?あれから2年半も経ってるのに!

汚染物が何の規制も受けずに自由に流通してるのも困った話ですが、本来居住が制限されるべき地域に人を留まらせている国や自治体の対応に非常に憤りを感じます。

 

これで「0.3μSv/hで規制すると風評被害を招く」なんて言い出さないといいのですが・・・・。