国民生活を人質に

昨日の野田総理の大飯原発再稼働発言があってからtwitter上では非難ツイートの嵐で、首相官邸前では4000人もの人たちが集まり「再稼働反対!」と声を上げましたが、我が新潟県の泉田知事も以下のコメントを発表しています。

 

原子力発電に関する野田総理の発言に係る知事コメント

 本日、野田総理が、大飯原子力発電所について「安全性を確認した」と表明しました。
 現在、福島原発事故はいまだ収束しておらず、事故の検証も進行中であり、換言すれば、意思決定過程や組織のあり方なども含めた事故原因の特定も行われていません。事故原因が特定されなければ、対策を講じることができないことは自明の理であり、専門家である原子力安全委員会も班目委員長が安全を確認していないことを明言しています。
 このような状況下で専門家でもない総理が安全性を確認できるはずもありません。
 実際、「福島を襲ったような地震や津波が起きても事故を起こさない。」と限定付きでの「安全宣言」であり、福島を襲ったものとは異なる直下型の地震等の場合は再び「想定外」という言い訳が通る説明になっています。
 「電源が失われるような事態が起きても炉心損傷に至らないことが確認されている。」との発言についても、現実には、「電源が失われなくても、炉心冷却に失敗すれば、大惨事になる」ということが福島の教訓であることを無視した説明です。
 さらに、政府の安全性の基準は暫定的なものであるとまで説明し、責任回避が可能な内容となっています。
 この他にも指摘しなければならない事項が含まれていますが、新たな安全規制機関も未設置であり、万が一の事態が生じた場合の対策も固まっていない中で、「安全を確認した」と表明することは、新たな「安全神話」を創造することとなり、極めて無責任であります。
 米国NRCでは、爆発や火災によってプラントの重要な部分が失われるようなシビアアクシデントに備えて対応(B.5.b[※])を準備しています。
 国民生活を人質にして、安全を軽視した宣言となっていることは極めて遺憾であります。

※ 米政府の原子力規制委員会(NRC)が9.11テロの翌年に米国内の原発に対し策定命令を出した「原子力施設に対する攻撃の可能性に備えた特別対策」

 

知事のコメントはまったくもって正論だと思います。

なぜ政府の中にこういうマトモな考えの持てる人がいないのでしょうか。

万全の備えができていなかったから福島第一原発事故はあれだけの規模に拡大しました。その収束も原因究明もできておらず、大飯原発でもその備えが万全ではないにもかかわらず「国民生活を人質に」再稼働を決断するというのは国民に対する恫喝です。

福島第一原発事故で避難されている方々は野田発言をどのように受け止めたのでしょうか・・・・。