柏崎市から脱原発を

世界的に大注目されたアメリカ大統領選はトランプ氏の勝利となり、昨日からニュースはトランプ一色。

が、現時点で世間からの関心は残念ながら低いものの、日本国民ならアメリカ大統領選なんかよりも要注目な選挙が11月20日に行われる新潟県柏崎市長選です。

柏崎市は言わずもがな刈羽村と並んで柏崎刈羽原発の立地自治体。先日の新潟県知事選挙では再稼働に否定的な米山氏が当選して新潟県全体としては脱原発の意思が示されたと言ってもいいと思いますが、知事選でも柏崎市と刈羽村では米山氏は負けています。やはり原発立地自治体としては原発が動いてもらわないと困るということなのでしょう。

そこへ、今回の柏崎市長選に再稼働反対を訴える竹内えいこ氏が立候補を表明しました。

竹内氏は柏崎市役所の元保健師。2014年4月からの1年間、会津若松市に置かれていた大熊町役場に出向し、保健師として原発事故避難者の身体と心のケアにあたったという経験をお持ちです。つまり、原発事故避難者の気持ちをとても間近で感じられてきたということ。その上で「福島の事故を柏崎で起こしてはならない」と原発利権ズブズブの柏崎市で再稼働反対を掲げて立候補しました。

対抗するのは元柏崎市議の桜井雅浩氏。柏崎刈羽原発の再稼働については「条件付き」で認めるスタンス。条件付きとは言うものの実際には原発推進のイメージを和らげるためのポーズに過ぎず、規制委員会がOKを出せばあとは再稼働へGoです。

原発が大きな争点となるという点では知事選と似た様相。竹内氏が市民グループの支援を受けているという点でも似ています。

しかし、現状では竹内氏は相当不利でしょう。知事選では6:4くらいで競るレベルにまでは行ってますが市長選となれば知事選より地元の意向が強く出るはず。まして地元が再稼働を求めるムードであれば気持ちで竹内氏支持でもそれを声に出したり投票したりというのは表に出しにくいように思います。実際、これまで原発に依存してきた中で、原発から決別してこの先どうするんだという不安もあるでしょう。

でも、そろそろ原発にしがみ付くのは終わりにしませんか。

福島第一原発事故以降、一部の原発は再稼働しましたが全国の原発のほとんどが動かないまま5年以上が過ぎています。5年前は「原発がなければ江戸時代に戻る」なんて言う人がいましたが、原発が動いてなくても電力は賄えています。再生可能エネルギーもまだまだ発展途上ながら発電施設の数も発電技術も飛躍的に伸びています。そして福島第一原発事故によって原発の安全神話が崩壊し、その後も度々起こってきた自然災害を思えば再び事故が起きないとは誰も言えません。事故の前でも言われていた使用済み燃料の処理は目途が立たず、もはや原発によるメリットよりもリスクの方がはるかに大きいのが現状。仮に再稼働をしたとしても、原発には必ず終わりが来て、金のなる木は永遠ではありません。現実的には米山知事が誕生したことで少なくとも今後4年間は再稼働が難しい状況が続きます。

ならば、原発に依存しない新しい柏崎市を竹内氏と作っていくという選択は決して後ろ向きではなくむしろ建設的な未来を切り開けるチャンスです。

世界最大級の原発立地自治体で原発にNoを示せばそのインパクトはかなりのもの。安全な廃炉技術の確立と並行して原発に依存しない新たな産業の創造・持続型社会を作っていければ、同じく原発を抱えながらもなかなか脱却できない自治体にとっても良いモデルケースとなるはず。そう前向きに受け止めることはできないでしょうか。

できることなら刈羽村でも同調してくれるとベターなんですが、柏崎市と同じく11月20日に行われる刈羽村長選挙では柏崎よりもダントツに原発マネージャンキーな現職村長が5期目を目指して立候補を表明しており、人口5000人にも満たない村で原発Noの声は柏崎以上に出しにくい現状で今のところ他に対抗馬も出ないようなのでこっちは難しいでしょうね。

刈羽村を変えるためにも、まずは柏崎市からチェンジしましょう。

アメリカ大統領選のように、まさかと思う結果が出ることを期待します。