泉田知事の出馬撤退から紆余曲折ありましたが、なんとか泉田イズムを引き継ぐ米山隆一氏を新知事にすることができました。
争点は原発ワンイシューではないという森氏の声は確かにそうなんですが、重要な争点の一つであったことに違いはなく、新潟県民の柏崎刈羽原発再稼働へのNoの声が大きく反映された結果であることは明らか。少なくとも今後4年間は再稼働が難しくなり、今日は予想通りに東電株も下げているようですし、素直な市場のみならず、東京電力も安部政権もこの民意を重く受け止める必要があると思います。
そして原発以外についても米山氏には新潟の持続的な将来につながる県政を期待したいところです。
で、今回の新潟県知事選について個人的に思ったことをいくつか。
今回の米山氏の勝因はやはり原発への姿勢だったと思います。アンケートでも県民の過半数が再稼働に反対ですし、米山陣営がそこをメインに姿勢を明確に打ち出したのは正解だったと言えるでしょう。森陣営は途中から再稼働イメージの払拭に躍起になってネットを情報源に持たない層には踊らされた方もいたかもしれませんが、先に強いメッセージを発した米山陣営の作戦勝ち。石崎徹氏の「原子力ムラ支援候補」なんて声は完全に足を引っ張っていたし、篠田市長の「廃炉に向け」なんてのは逆に先走りしすぎで、泉田知事からTwitterで発せられた質問への対応や例の反共ビラなど信用失墜や反感を生むような面も多く、ある意味自滅とも言える数々の出来事は米山陣営への追い風にもなってしまいました。
逆に言えば、森氏には失礼ですが、相手がこんな森氏だから勝てたという側面もあるかもしれません。ご本人のよろしくない評判は以前からあったし、選挙戦術はあまりにも古く、支える側もあまり利口ではなかったと思います。正直あのやり方で支持が広がるとは思えないし、だからこそ出遅れた米山氏の逆転を許してしまった。序盤で有利と油断してたのも大きかったでしょう。
そもそもの話で、なぜ森氏が擁立されたのかって私はやや疑問で、泉田知事が出馬撤退する前の時点で森氏に勝算があるとは思えなかったし、これは完全に個人的な推測で当たってはいないと思いますが、森氏は負けるのわかってて犠牲にされた可能性があるのかなと。森氏擁立を後押しした三条市の国定市長はかなりの野心家かと思っていますが、本当に野心があるなら森氏ではなく国定氏本人が出馬するはず。それを森氏で推したのは市長会で国定氏が森氏を目の上のたんこぶと思っていて森氏を失脚させるために勝算のない知事選に担ぎ上げたのではないか。そんな気がしてます。たぶん違うと思いますけどね。
続いて民進党。米山氏の立候補に至るまでのゴタゴタは多くの方がご存知でしょう。そのゴタゴタがあったことで逆に米山支持者が強く結束したという効果もあったように思いますが、この迷走劇で民進党は大きく信頼を失ったことは確か。自主投票となって一部の民進党議員は序盤から米山支持に回っていた方もいて、そういう方は党派や支持母体とかは関係なく信念で動いていて評価に値しますが、選挙戦後半になってようやく動き出した人については情勢を見て勝ち馬に乗ったという印象が拭えませんし、たぶん実際にそうなんでしょう。終盤には蓮舫氏も演説に来県し、蓮舫氏が来たこと自体は評価しますが、この行動の真の狙いはなんだったのかという疑問はあります。演説では米山氏の応援と言うより民進党およびご自身のアピールが大半というような印象だったし、度々使っていた「我々の仲間、米山さん」という言葉には強い違和感が。何よりも蓮舫氏来県に際して野田幹事長の「絶対に引き留める」という言葉は民進党の本質を垣間見たように思います。素直な言葉で表現させていただけば「だったらもっと早く来いよ!」です。きっとこの先も変わらないのでしょうけど、ホンキで政権奪還を目指すというなら隠れ蓑で隠してきた原子力ムラのしがらみはキッパリと断ち切り、国民・県民・市民という一番の支持母体を得ていくことが何より重要ではないかというのが今回の知事選でもわかるはずです。まぁ多分したくてもできないんでしょうけど。
続いて原発。今回、米山氏が当選したことで少なくとも今後4年間は再稼働が難しくなるのは先ほども書いた通り。1985年に稼働を始めた1号機も4年後には稼働から35年にもなるし、一応原発は40年ルールというものがあるので(ムリヤリ延期しようとしてますけど)、再稼働申請している6・7号機以外は廃炉ということも現実味を帯びてくるのではないかと思います。それ以前に、先日は防潮堤が液状化で壊れる可能性があると6・7号機再稼働計画を見直すという話もありましたから、もうこれ以上再稼働を望むのはムリじゃね?という気がしてます。いずれにしても原発利権は永遠ではないのだから、これを機に柏崎刈羽原発は廃炉へとシフトして、今度は廃炉の技術を伸ばして地元経済の発展に活かしていくというのはダメなんでしょうか。当然廃炉になれば東電の経営にも影響してくるわけですが、福島第一原発の廃炉や事故被災者への補償・支援もしてもらわないと困るのですから、経営が行き詰って「ざまぁ」で終わらすのではなく、東電を潤わせるという意味ではない福島の隣県として支えていくサポートも県としてしていただければと思うのですがいかがでしょう。
続いてメディア。泉田知事の出馬撤回の原因を作ったのは新潟日報。問題となったフェリーの件でも新潟日報はダーティなウワサがあり、それはひた隠しにしたまま泉田バッシングを続け、米山氏の立候補表明以降も森氏擁護の偏向報道。例の森氏の反共ビラがasshに折り込まれていた件も、新潟日報のみでは日報を購読していない家に撒けないので日報とは別に各家庭に配布するasshを使いましょうという入れ知恵があった・・・かどうかはともかく、森陣営の中に日報スタッフが入っていたのは間違いないでしょう。これで公平な報道なんてできるわけありません。
新潟日報だけでなく、新潟の民放テレビ局各社は東京電力の不愉快なCMを流し続け、ニュースでも公平とは思えない偏向が見受けられ、もう完全に新潟のメディアは原子力ムラに牛耳られてしまいました。
先ほどの民進党と同じく、読者・視聴者の支持を得たければ、特定の政党・団体に肩入れするのではなく、県民に広く公平に情報を伝えるというメディアとしてあるべき本来の立ち位置に戻る必要があると思います。
続いて投票率。最終的な投票率が53.05%と前回よりは上がってはいるものの、新潟の重要な岐路となる選挙としては私の期待していたほどではないというのが正直な印象。泉田知事が当選して以降は事実上の信任選挙だったので投票率が下がっていくのは仕方がない部分があるとは思うのですが、今回はできれば70%くらいの投票率があってもよかったのではないかなーと個人的には思います。特に新潟市では46.30%と県内トップの低投票率、私の住む東区では43.96%と情けない限りで、いくらなんでもこれは関心なさすぎでしょうと思わざるを得ません。投票率53.05%のうち、米山氏の得票率が52.2%ですから、県内有権者の27.7%程度で新潟の今後を決めたことになるわけで、先ほど原発に関しての民意が反映されたとは言いましたが、むしろ投票に行かなかった46.95%もの無関心が一番大きいってのはかなり問題ではないかなぁと心配になります。
意外だったのは柏崎刈羽原発の地元、柏崎市と刈羽村の結果。刈羽村は原発利権ズブズブの地域ですから投票率も森氏の得票率も相当高いと思ってたのですが、投票率は69.80%、得票率では森氏が61.1%、米山氏が38.1%と、数では負けてても米山氏支持票が思ったよりあったんですね。柏崎市では投票率は59.44%、森氏が63.5%、米山氏が45.2%と、こちらも米山氏支持票が思いのほかあります。世代や性別まではわからないですけど、原発の地元でもこのまま原発依存ではダメなんだって声は少なからずあるんじゃないかと思いました。来月には柏崎市長選があり、脱原発派の候補も立候補表明しているので、こちらの結果にも注目です。
最後は泉田知事。一貫して「後継候補は指名しない」とのスタンスを貫き通した泉田知事ですが、選挙戦中に候補者に投げかけたTweetは事実上、米山氏への援護射撃。Twitterやってない人にどれだけ届いたのかはわかりませんが、少なからず影響を与えたのは確かではないでしょうか。終盤ではいよいよ米山支持を表明か!?なんてウワサもあって、結局は諸事情(圧力との話も)あって正式に支持表明には至らなかったものの、泉田知事は自身の出来うる範囲でかなり助けてくれたのではないかと思います。まぁ見ているこっちとしてはかなりもどかしかったですけどね。私たちの知らないところで難しい裏事情があるんだなってのはよくわかりました。
あとは知事退任後の動向ですね。個人的には国政に出るか、あるいは副知事として県庁に残る(笑)なんてのもアリかな~と思いますが、さすがにこのまま隠居ってことはないと思うので、どんな形で泉田氏を見れるのか楽しみにしています。
以上、感じたことを思ったままに書きました。
完全に個人的で素人な推察も入ってるので全てを鵜呑みにはしないでね。
結果が自分の望んでいたものだったからというばかりではなく、今回の知事選はとてもおもしろかったです。
Twitterではしばらく知事選関係のTweetばかり続いてクルマ・バイク関係のフォロワーさんに見放されそうなので(笑)これからはVWモードに入っていきたいと思います。