某国が水爆実験を行ったとして大きなニュースになりました。
実際には水爆じゃなかったとか、実験は失敗だったとか、いろいろ憶測が飛び交ってますけど、真相はわからないのでその辺の推察は専門の方にお任せします。
それより私が気になったのは今回の水爆実験を受けて原子力規制委員会がSPEEDIを運用すると発表したこと。
SPEEDIとはご存知の方も多いでしょうが「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information)」と呼ばれるもので、その名の通りに原子力災害などの際に漏れた放射性物質がどのように拡散し、どこに影響が及ぶか予測するシステム。開発には113億円もの巨費が投じられ、日本全国に乱立する原発で事故が起きた際には周辺住民の被曝リスクを抑えるために活用されるはずでしたが、福島第一原発事故では「緊急時迅速」と謳いながらその予測が住民に伝えられることはなく、原発近くから避難したのに実は居住地より線量の高い場所に避難していたという悲劇を招きました。
その後、原子力規制委員会は緊急時にSPEEDIの予測を使わない方針を決定。理由は事故時の放射性物質放出のタイミングや量、気象状況など不確かな要素が多く、SPEEDIの計算結果で判断するのは逆に被曝リスクを高める可能性がある、というものですが、これは要するに自分たちの責任逃れに過ぎず、予測の正確性はともかくとして多少の誤差があったとしても緊急時にこそ活用しなければならないシステムを放棄するというのは完全に矛盾しています。
それが、今回の水爆実験ではSPEEDIを使うと。
原発だろうが水爆だろうが被曝リスクを下げるべきなのは同じはずなのに、なぜ対応が真逆になるのか。
大きく異なるのは原因が国内か国外かということ。つまり、日本国内で起きた原発事故ならその責任を電力会社や原子力ムラ、政府、そして原子力規制委員会などが問われるのに対し、他国の水爆実験なら実験を行ったその国の責任であり自分たちに非はないとできるから。
今回の水爆実験のあと、全国のモニタリングポストで異常がないか監視してるということも伝えられていますが、モニタリングポストの監視は水爆実験がなくても日常的に行うものであり、まして福島第一原発事故後は異常値を示すことが多々あるにも関わらずそれらは大きく公表されず、今回に限って監視してますアピールをするのはSPEEDIと同じ構図です。
結局、国民をホンキで守ろうって気が欠如してるんですね。
マスコミもこうした矛盾を伝えることはなく、与えられた情報をそのまま垂れ流すだけ。違和感を感じた記者はいなかったのでしょうか。
こういうことを考えると、水爆実験なんかやらかした某国とクレイジー度合いはさほど変わらないんじゃないかなぁと思うのでした。