ドイツのメルケル首相が来日しました。
来日中に話したメルケル首相の言葉の中で大きなポイントは2つ。
「戦争の過去と向き合う」
「脱原発」
日本と同じく第二次世界大戦で敗戦国となったドイツは、ナチスによるユダヤ人虐殺という悲劇を直視し、それを誤りだったと認めた上で国際社会に受け入れられたと述べるメルケル首相。日本もアジア周辺諸国への侵略において数々の悲劇を生んできた過去があり、それが今も周辺国との不協和音の元にもなっているわけですが、どうにも安部首相はそれについて関係改善に取り組む姿勢があまり感じられません。また、最終的に多くの国民の命を奪われ、広島・長崎に原爆まで投下されてボロ負けした戦争を多くの国民は悲しい過去と受け止め、再び繰り返してはならないと思っているにもかかわらず、安部首相の進める舵取りは不戦の誓いよりも再び軍国主義に回帰しているように思います。
過ぎた過去は変えられない。でも、そこから反省はできる。
同じ敗戦国の日本とドイツでなぜこうも違うのでしょう。
「積極的平和主義」と謳うのなら、「いかに相手を攻撃するか」ではなく、「いかに争いを避けるか」に重きを置いて考えるべきではないでしょうか。
蛇足ながら更に付け加えるならば、「人が人を殺傷する」という行為には、勝者であっても敗者であっても正義はありません。「戦争終結を早めた原爆投下は正しかった」という論調がアメリカでは多いという話を聞きますが、結果的に多くの人命を奪い、生き残った人々をも長きに渡って苦しめることとなった原爆投下は正義ではありません。アメリカにとっても日本にとっても悲劇です。故に敗戦国だけでなく連合軍側も大戦で行われた殺傷は誤りだったと認め、世界全体で争いのない平和な未来を築いていく努力が必要だと思います。
そして2つ目の脱原発。メルケル首相は永らく核の平和利用を支持してきた過去がありますが、福島第一原発事故を受けてこれを180度方向転換。早々に稼働中の原発を止め始め、再生可能エネルギーの促進と将来的な脱原発に舵を切りました。
福島第一原発事故の影響をほぼ受けないであろう遠く離れたドイツが、アジアの端っこで起こった事故を教訓に考えを改める。なのに当事国である日本は再稼動に進んでいく。
日本とドイツでなぜこうも違うのでしょう。
戦争と原発、共通するのは「日本は反省しない」という点でしょうか。いや、正しくは国民の大半は戦争にも原発にも懲りている。懲りていないのは国の舵取りをする人たち。
きっと安部首相はメルケル首相の発言を「よけいなお世話だ」と思ってることでしょう。しかし、私にはメルケル首相の言葉は疑いようのない正論に思えます。
今日は東京大空襲から70年の日、そして明日は東日本大震災から4年の日です。
悲しい出来事を忘れず、再び過ちを繰り返すことなく、そして一人でも多くの人命が失われないように、平和な世界を望みます。