脱原発派にとってはまたもや本意ではない、でも大方の予想通りの結果になってしまいましたね。
異例の大雪で投票率が伸びなかったとかマスコミが脱原発候補を黙殺したとかそういう面も確かにあるとは思いますが、結局東京都民の大半は都知事が誰であろうが興味はないし、脱原発にも関心はないし、オリンピックが成功すればまぁいいかな、くらいな方だったということでしょう。
それでも前回の猪瀬氏が圧勝した都知事選に比べれば宇都宮さんもやや得票伸ばしたし、細川さんも短い選挙期間でよくあれだけの票を確保したもんだと思うし、脱原発への意識は多少なりとも前進したんじゃないかとは思います。
驚いたのは田母神さんの意外なほどの善戦。私の感覚から見ればあれだけ被曝の影響や放射性核廃棄物の問題を軽視している田母神さんに支持できる点は皆無なんですけど、今回得た61万もの票は泡沫候補ではない確固たる支持層を持ったという表れで、この票数が私にはかなり恐ろしく感じます。
逆に言えばこの田母神さんの得票数が東京の現実を表してるのかな、と言えるのかも。
私がこの選挙戦の間に感じていた違和感。それは脱原発は大きく叫ばれるのに、脱被曝についてはあまり語られなかったこと。
私にとって脱原発も脱被曝も同じテーブル上の話であって、どちらかが欠けた議論は無いと思ってます。福島第一原発事故によってもたらされた汚染は現在進行形の懸念、未だ廃炉へ舵を切れない原発は将来もたらされるかもしれない未来の懸念。そのいずれもこれからの未来を生きる子供たちの命を守るために考えなければいけいないことで、片手落ちでは意味が無い。
細川さんと宇都宮さんは脱被曝に関しての話しをちょっとはしてたと聞いてますが、選挙において争点にはなってません。細川さんの応援に駆け付けた南相馬市の桜井さんは被災地でも脱原発を強く願うと熱烈な演説をしていましたが、桜井さんは南相馬市への帰還を進めていて脱被曝という観点では私はその主張に違和感を感じるし、宇都宮さんは銀座でベビーカーデモを展開して被曝を懸念する人たちから非難されていました。田母神さんは・・・・まぁ論外ですね。
で、ずーっと違和感を感じたまま選挙戦を見ていたのですが、途中で私の感じていた違和感は単に勘違いしていただけだと気付きました。
都知事選は東京のリーダーを決める選挙。つまりこれまでもこれからも東京に住み続け、そこで子どもを産み、育てていく人たちが誰を支持するかという選挙であって、東京がヤバいという人たちが選ぶ選挙ではないということ。自分の固定権念からこんな基本的なコトを見過ごしていました。
そういう意識なら田母神さんがある程度支持されるのもわからなくはない。
これまで地方に電力を依存し、その地方が事故で大変な思いをしていても、まだ変わらない東京都民。自分たちも当事者であることも知らずに。知っている方の多くは既に都民でなくなっているんでしょうかね。
まぁ今回は細川さんや宇都宮さんに期待しすぎたのかもしれません。それでもこの選挙で学んだ点もあったし、誰が敵で誰が味方なのかもちょっとずつわかってきたし、まったくの無収穫ではなかったかも。
さて、 選挙期間中からずっと黒いウワサが暴露されまくってた新知事が辞任に追い込まれるのもそう遠くないような気もするので、都民の皆さんにとっては貴重な税金がまたムダ遣いされるのは大きな損失ですね。
国会討論も9条関連で政府側から笑い声が出るなど、余裕ムードの政権ですが、選挙で選ばれたってことは本来であれば望まれてトップに立ったはずなのに、ネットやメディアに喜ばしい記事があまり見当たらなく、逆の記事が多く目立つのには違和感というか、本当に正しい選挙が行われているかさえ疑わしく思われますが、まぁ、東京都民の多くがそれを選択したというのも、わからなくもないですね。どうせ東京には原発は建設されないと思っているし、震災も東北の田舎が被害受けただけですからね。阪神大震災のとき、自分が対岸の火事くらいにしか思っていなかったのを思い出しました。
もう1回原発事故が起きないと気付かないかもしれませんね。