あれは小学校何年生の時だったか、教科書に何て書いてあって、先生は何て言葉で教えてくれたのか、ぜーんぶ忘れちゃってるし、子どもの頃はさっぱり勉強なんかしないで結果ロクでもない大人になっちゃったんだけど、アホな子どもだった私に「戦争の放棄」という文言がその当時どれだけ強烈にインパクトを与えたか、その事だけはハッキリ憶えている。
「日本の憲法ってすげぇ!!」
アホ丸出しで私はそう思った。
小難しいことまではわからなくても、子どもにだって戦争が良くないことも、人と人が殺し合うことが良くないことくらいはわかる。私が産まれる前に大きな戦争があって、広島と長崎に原爆が落とされて、日本は戦争に負けたってことも知っていた。世界中で実際に戦争が起きているっていうことも、好むと好まざると関係ナシに戦争に巻き込まれて軍人じゃない人たちが殺されている現実があるのも知っていた。
だから、ハナっから「戦争しません」って宣言しちゃってる日本の法律ってすげーなって、そんな法律がある日本ってすげーなって、当時は全然勉強しなかったもんだから法律が作られた経緯や時代背景とかそういうのはまったく頭に入ってなかったんだけど、あの時は単純にそう思ったんだよね。自分の作ったもんじゃないのに妙に誇らしかったくらい。
で、今度の参院選でも大きな争点の一つになっている憲法9条。
自民党は9条を変えようとその前段階として96条を変えるのにも意欲的だけど、私には9条を変えようっていう発想そのものがわからない。
いや、現実問題として他国から攻撃されてからじゃないと反撃できないとか、自衛隊は軍隊じゃないのかとか、アメリカから押し付けられた憲法から脱却することが真の独立だとか、いろんな意見があってそれはそれでわかる部分もないわけじゃない。
でも、世界でも稀有な「戦争の放棄」っていう素晴らしい理念を捨てるのっておかしくね?
私は日本に戦争なんかしてほしくないし、自分自身も、自分の家族も死んでほしくないし、誰かを殺してほしくもない。もちろん友だちやその家族でも同じ。そして日本人のほとんどはそう思ってるでしょ?
だから、誰も死なない・誰も殺さない「戦争の放棄」って宣言を誇らしく思うんだよね。
この前、自民党の石破幹事長は憲法改正で軍事裁判所的なものを設け、命令に従わない隊員は死刑・無期懲役・懲役300年にする、みたいなことを言っていたという報道がありました。
これを聞いた時、心の底から怒りが湧きあがりました。
ネットじゃ「徴兵を拒否したら死刑」のようにやや誇張されて広がってたりもするんだけど、9条改正・国防軍創設・軍法会議・・・・と来れば、それが必ずしもオーバーな表現とは限らない結果が待ってるんじゃないかって危惧するわけですよ。
しかもそれをやりたがってるのは実際に戦争が起きても決して最前線に行くことはないジジィたち。
自分の子どもに赤紙が来て、兵になれば前線で名誉の戦死、拒否すれば非国民として死刑、そんなの望む親がどこにいる!?
安倍総理の言う「日本を取り戻す」って「軍国主義を取り戻す」ってことなのかよ!?
今回の参院選では各党からたくさんの人が立候補しています。
その中でもネットを中心に話題となっているのが三宅洋平。
時間のある方は、いや、時間がなくても少しでいいから彼の声を聞いて欲しい。
私はミュージシャンとしての三宅洋平のことはまったく知らない。
でも、彼の声は私の胸にすげー響いた。
政治経験のないミュージシャンの立候補はどうせ売名・話題作り、当選したって何もできやしない、そう思う人もいるかもしれない。
でもさ、何年も政治家やってる候補者の難しい言葉を並べた演説なんかより、ずっとシンプルでずっと心に届くよ、彼の魂からの叫びは。
で、彼の掲げる政策の中に「憲法9条を世界遺産に」ってのがあって、私はこれにすげー共感したんですね。
だって、「戦争の放棄」って世界に誇れることだもん。
青臭い理想論だって笑う人もいるかもしれないけど、アメリカの押し付けだったとしても、いいもんはいい!
誰も戦争なんて望んじゃいないんだ!!
残念ながら、三宅洋平や同じく政治ド素人で立候補している山本太郎について、テレビや新聞ではほとんど扱われず、それ以外に情報源を持たない有権者に彼らの声は届いていない。
でも、街頭じゃ自民党や民主党の候補者なんかより断然多くの聴衆を集め、断然多くの共感を呼んでいる。
彼らに投票してくれとは言いません。誰を選ぶかは有権者の判断。
ただ、少しでもいいから彼らの声を聞いていない人たちの彼らの声を聴かせてあげてほしい。
聴いた上で絵空事ばかりの若造と切り捨てるならそれはそれ。
でも、聴けば何か感じるはず。軍国主義復活を望んでいない人ならね。
もし彼らの言葉に共感したならば、今回の選挙は棄権せずに投票に行ってほしい。
東京選挙区から立候補している山本太郎は東京都民じゃないと投票できないけど、比例で立候補している三宅洋平は全国どこからでも投票できる。
今まで選挙に無関心で投票に行ってなかった人たちが行けば、優勢と言われてる自民党だって簡単にひっくり返せるんだよ?
ま、三宅洋平に入れてくれとも言わないんだけど、彼一人くらいを国政に送り込めるかどうかはこの国の主権者である我々が試されているということでもあるんじゃないでしょーかね。
個人的に、自公連立が続くのは良くないと考えています。なんせ、民主主義や平和主義の崩壊へ向かうような感じもしますから。
ただし、まとまれない各野党や無所属などは、票がまとまらないと何もひっくり返せないのに無駄に多くの党があり、自公連立政権が長続きするようにグルになってわざと党を増やしてるんじゃないかとも思えるくらい、派閥が多すぎてなんでまとまれないのかといつも思います。
私は山本氏も三宅氏も支持しませんが、ああやって行動することは並大抵ではできることではないので素晴らしいことだと思います。
良くも悪くも、一度は民主党が政権をひっくり返したように、まとまって政権ひっくり返す強い波になってくれることを祈ります。
綺麗ごとだけで政治や国を動かすということは不可能でしょうし、山本氏や三宅氏は議員には全く向いていないでしょうけど、世の若者が本気で誰に投票するか考えて一人でも多くが選挙に行くことを願います。
実際、山本太郎や三宅洋平が当選する可能性ってのはけっこー低いんじゃないかと思ってます。
仮に当選しても彼らが政治に大きな風穴開けられるとも思ってないし、厳しい向かい風と戦うことになるだろうし、たぶん彼ら自身もそれはわかってるんだと思います。
でも、大きな風穴じゃなくても爪楊枝で刺すくらいの穴なら開くかもしれない。
その小さな穴を少しずつ広げていくことはできるかもしれない。
まとまらない少数野党も、政策によっては穴を広げるのを手伝ってくれるかもしれない。
そんな僅かな可能性でも彼らには期待したいんです。
そして彼らを送り出すことで、いつまでもジジィの組織票に頼るばかりが選挙じゃねぇんだ、オレたち若い世代にも何か言わせてくれよ、言いたいこと言ったら伝わったじゃん、って実感してもらえる選挙・政治になっていくのを願ってます。
あと、「憲法9条を世界遺産に」ってのは私もホンキで願ってます。
憲法9条は、世界遺産にしなくても守るべきだし、世界遺産にしなきゃ守れないような政治をさせてはいけないと私は考えています。あと、選挙がマツリゴトにってのは全く共感できないです。
文化的な価値はすごく高い憲法9条だとは思いますけどね。世界遺産にしなくても守っていくべきなのが日本人にとって世界に誇る重要なラインであると思います。
個人的には世界遺産にするのが目的ではなく、それに他国が続くきっかけになればと思ってます。