瓦礫焼却より優先すべきこと

年が変わっても新潟の瓦礫問題はまだまだ終わりそうにありません。

以下、昨日の篠田市長の会見

 

東日本大震災:がれき「試験焼却、年度内に」 新潟市長、実施の意向/新潟(毎日新聞 2013年01月08日 地方版)

東日本大震災で発生した岩手県大槌町のがれきの試験焼却について、新潟市の篠田昭市長は7日の記者会見で「(試験焼却にかかる費用を)補正で予算を組んでもらっているので、年度内に予算を使えるようにしたい」と述べ、年度内に実施する考えを示した。市は昨年の9月議会で試験焼却の費用1260万円を予算計上している。
篠田市長は、がれきの試験焼却を予定している同市の亀田・新田両清掃センターで、焼却灰に基準を超える鉛や水銀が含まれていた問題については、情報公開とごみの分別徹底を市民に求めることに「全力投球する」とした上で、「それはこれ、これはこれで(がれきの処理を)やらせていただきたい」と、受け入れに向けた準備を進める意向を述べた。
また、受け入れに慎重な泉田裕彦知事について「全国(の知事)で唯一ああいうことを言っている」と批判。「市民からはだいぶ理解をいただき、『もっと強気に出てもいいのではないか』と励ましの言葉もいただいている」と話した。

 

水銀・鉛の問題と瓦礫は確かに別の問題とも言えますけど、3.11以前でも適正に管理されなければいけなかった水銀・鉛ですら管理できない焼却施設で放射性物質を含む瓦礫の焼却なんて危険極まりないのは明白です。それを「それはこれ、これはこれ」などと片付ける篠田市長は相変わらず誠意のカケラもありません。

また、昨年から続く泉田知事への批判も、まっとうな判断能力を持っていれば泉田知事の見解は非常にマトモであると誰でもわかるのに、それに対して理論的に反論できない篠田市長はやはり不勉強の知識不足と言わざるを得ません。「市民からだいぶ理解をいただき」ってどこの市民のことを言ってるのかわかりませんが、危険性についてまったく触れずに理解もヘッタクレもありませんので、篠田市長には今年こそ市民と直接話をする覚悟を先にしていただきたいものです。

そして次は今日の国定市長の会見

 

がれき本焼却は今月下旬、三条市(新潟日報 2013年01月08日)

岩手県大槌町の震災がれき受け入れについて、三条市の国定勇人市長は8日午前の会見で「本格受け入れは1月下旬になる」との見通しを示した。近く岩手県と詰めの調整に入る。
会見で国定市長は「(1月中にも本格焼却を始める意向の)柏崎市と一緒に、岩手県とのテーブルに着きたい」と強調。試験焼却と同様、がれきの運搬方法や時期などで柏崎市と共同歩調を取る考えを示した。
三条市は1日当たり6・5トンのがれき処理を予定。国が処理の目標とする2014年3月までに最大2400トンを見込む。本格焼却で出た灰は、市内の一般ごみと区別し、市内の最終処分場「道心坂埋立地」に埋め立てる予定。

 

個人的な印象としては瓦礫焼却への執着や泉田知事への反感は篠田市長より国定市長の方が格段に強いと感じます。

昨年暮れに瓦礫受入を検討した自治体に交付金が支払われ、結果として受け入れなかったとしても返還する必要がないってことが問題として報道されましたが、三条市はアレで2億5,700万円、更に復興特別会計として10億5,300万円、合計13億1,000万円を受け取っています。もちろんこれは国民(被災地も含む)が今年から25年間、復興特別増税として納める税金から拠出されます。

昨年の市議会12月定例会で1200万円の補正予算が可決されたのは知ってる三条市民も多いかと思いますが、13億もの金が三条市に渡っていることは知らない方が多いかもしれない。そりゃ瓦礫燃やして13億も入るなら国定市長も執着するわ。結局欲しいのは金で「被災地のため」なんてのは詭弁でしかないんですな。

この前の報道で大槌町で防潮堤を作る沿岸部の瓦礫が片付かないと復興が進まないなんて話がありましたが、実際には沿岸部に置かれている瓦礫は広域処理の対象ではない不燃瓦礫で、広域処理に回される可燃瓦礫は山手の方に片付けられて、それは復興の妨げにはまったくなっていません。それを不燃と可燃と一緒にして、さも瓦礫焼却すれば復興が劇的に進むかのように詐称するのはもはや犯罪的。だったらその13億を不燃瓦礫での防潮堤建設に使えや!と私は思います。

 

さらにこの正月には大槌町に派遣されていた兵庫県宝塚市の職員が自殺したという悲しい報道もありましたが、これについて詳しく書かれている記事がありました。

哀しい!派遣職員が自死。復興進まぬ大槌を、三陸を、支えよう! – 明日に向けて

記事を書かれたのは実際に大槌町に足を運び、現地の声を聞いてきた方なので、遠地ではなかなかわからないリアルな事情が伝わってきます。

大槌町で優先すべきは瓦礫処理よりも他にある。

間もなく震災から1年10ヶ月にもなろうというのに、なぜ未だに仮設暮らしの人が何万人もいて、被災地復興の青写真が描けてないのか。

膨大な予算を使って全国で瓦礫を燃やせば復興は終わるんですか?

 

必要な人や地域に税金が使われることに対してはまったく異論はありません。

しかし、新潟5市長にはそれが本当に被災地にとって最優先するべきことなのかしっかり考えて頂きたい。

そして、無関心な5市の市民も知るべきことは知って、声を上げるべきことに対しては声を上げていただきたい。

そう思います。