昨日は昼間の市役所に続き、亀田清掃センターで行われた第5回市民主催説明会に行ってきました。
特別講師として招かれた山本節子さんは市役所にも同行いただき、説明会と合わせて大変有意義なお話しを聞かせていただきました。
今回出てきた重要なキーワードは「PM2.5」
はい、また初めて聞くワードです。それなりに知識を得てるつもりでもまだまだ知らないことがいっぱいです。
「PM」とは「Particulate Matter」の略で、日本語にすると「微小粒子状物質」
「2.5」は物質の大きさを表す2.5μm(マイクロメートルあるいはミクロン)のことで、つまり「PM2.5」とは「粒径2.5μm以下の微小粒子状物質」ということです。
1マイクロメートルは1/1000000メートル、ミリにすると1/1000ミリ。
ヒトの頭髪がおおよそ直径70μmくらいらしいので、2.5μmは直径で頭髪の1/28ほどの大きさ。PM2.5というのが非常に微細な粒子だということがわかります。
山本さんはこれまで多くのゴミ問題や焼却施設・環境汚染の問題に取り組まれていて、チェルノブイリ原発事故についても多くの知識を持っています。そしてチェルノブイリで多くの住民が被曝した要因の一つに「PM2.5」があると指摘しています。
チェルノブイリ原発事故では広大な土地が立入禁止になりました。放射性物質が大量に降り注いだ森林や農地で火災が発生すると放射性物質が煙と共に周辺に飛ばされ、立入禁止区域外の住民の体内に取り込まれます。燃やされた放射性物質は微細なPM2.5となって肺まで簡単に到達します。チェルノブイリではこうして飛散したPM2.5放射性物質による被曝で多くの住民が健康被害を起こしました(もちろんこれ以外に食べ物などによる被曝もあるでしょう)。山本さんのスライドで煙が飛散する様子を映した衛星写真を見ましたが、煙は驚くほど遠くに飛びます。日本でも春になるとはるか中国から黄砂が飛んできますよね。目視できるくらいの大きさの砂が中国から日本まで届くんですからPM2.5を含んだ煙なら風次第ですごい距離運ばれるのは想像に難しくありません。以前は好きだった「いい質問ですねぇ!」でお馴染みのあの方が3.11直後に「プルトニウムは重いから遠くまで飛ばない」と連呼していたにもかかわらずフクイチから何百キロも先でプルトニウムが見つかったのも同じです。微細な粒子は遠くまで飛び、我々の体内に簡単に入り込むということです。
そしてこれはこれから新潟で行われようとしている瓦礫焼却にも繋がります。
焼却施設に持ち込まれるゴミには様々な物質が含まれ、中には人間にとって有害な物質もあります。新潟市が試験焼却を行うとしている亀田清掃センターでは基準値超の水銀を含む灰が、新田清掃センターでは同じく基準値超の水銀と鉛を含む灰が出ました。焼却灰に水銀や鉛が含まれているということは持ち込まれたゴミにそれらが含まれていたということ。そして、ゴミに含まれていた水銀・鉛が全て灰に残ればまだいいのですが、一部は焼却によって気化し、PM2.5となった水銀・鉛はバグフィルターをすり抜けて排気筒から大気に放出されます。いや、「されます」ではないですね。既に「放出されています」。新田清掃センターには埋立処分場から持ち帰られた水銀・鉛を含む大量の焼却灰が保管されていますが、その処分方法についてセンター長に聞いたところ「一般ゴミに少量ずつ混ぜて2年かけて処理する」と言っていました。これはつまり「灰の基準値がオーバーしなくなるまで薄めて大気に放出して処分する」ということです。大気に出てしまえば証拠は残らない。それが原因で健康被害が起こっても、です。当然これは水銀や鉛だけの話ではありません。全ての有害物質に当てはまります。
これが山本さんが指摘するPM2.5の恐ろしさ、焼却施設の抱える大きな問題点です。
そしてこんな管理体制のまま放射性物質を含む瓦礫を燃やそうと言うのです。
瓦礫を燃やせば含まれていた放射性物質の一部はPM2.5となって大気に放出されます。三条市の試験焼却でも焼却中に線量が上がり、焼却後にまた下がるという挙動が確認されています(三条市のデータでも示されています)。量の少ない試験焼却なので数値上は小さいものですが、放射性物質がPM2.5となってバグフィルターをすり抜けていたことは明らか。ちなみに新田ではまだ瓦礫を受け入れてもいない今年4月の段階で灰から90数ベクレルのセシウムも検出されたそうで、これも灰にセシウムが含まれていたということは排ガスと共に一部放出された可能性があるということになります。
瓦礫受入以前の問題!
山本さんによれば、欧米では既にゴミを極力焼却しない方向へシフトしているそうです。ここまで読んでいればその理由は明白。焼却によるPM2.5の発生が非常に深刻な健康被害を起こすことを知ってるからです。日本でもPM2.5に関する環境基準が取り入れられようとしてはいますが基準を達成する自治体はほぼゼロ。特に環境の悪い関東・関西都心部でなんとかしようと考えられたのが焼却施設への対策ではなくトラックの排ガスを規制するもの、いわゆるNox法です。近年、日本でもゴミの減量やリサイクルによって焼却するゴミの量は減っているのに減らすべき焼却施設ではなくトラックに矛先を向けるのはなぜか?ストレートに言えば焼却施設でゴミを燃やしてお金を得ている人がいて、それを失うのを恐れる人がいるということですね。瓦礫の広域処理でも受入ている焼却施設は燃やすゴミが欲しくてたまらない。人の健康や環境汚染よりもお金が大事。焼却施設を減らしている欧米でも少なからず焼却施設は作られるそうで、その時にターゲットとなるのは貧困層が住むエリア。困っている人の頬を札束で叩くのは産業や人口減に困る自治体に原発を誘致する原発利権構造と似ていますね。
・・・・・・この前の第4回市民主催説明会で聞いた関口さんの話もそうですが、震災瓦礫広域処理の問題は単に放射能だけの話に留まらなくなってきてしまいましたねぇ。
以前このブログでも触れたように、私は3.11以降の瓦礫ではない一般ゴミの焼却にも強い懸念を持っていましたが、いろんな事を学んでいくと、問題は3.11前からあったことがわかってきました。
これは瓦礫受入に関わらず全国全ての焼却施設に当てはまり、全ての国民が晒されている危険です。
PM.2.5については検索するともっと詳細な情報がたくさん出てきますので、より深く知りたい方はいろいろ調べてみて、ぜひ知って、考えてください。
山本さんからは瓦礫焼却を止めるために重要な武器となりうる「公害防止協定」についても学びましたので、それについてはまた別の記事で書くことにします。